リクシル、対立の根底に海外買収攻勢の「失敗」 問われているのは「ガバナンス」だけではない
深刻なコーポレート・ガバナンスの不全が露呈し、混乱が続くLIXILグループ。5月20日に開かれた取締役会で、会長兼CEO(最高経営責任者)で前身企業のひとつ旧トステム創業家の潮田洋一郎氏が取締役を辞任した。
“最高実力者”として長年権勢を振るった潮田氏は、6月25日に予定される株主総会後は会長およびCEOからも身を退くことを公約している。
さらに会社側の指名委員会は現任取締役をひとりも含まない次期取締役候補10名を発表。うち9名を社外取締役にすることで経営体制刷新とガバナンス強化をアピールし、株主総会での賛成を求めている。
これに強く反発するのが、昨年10月末に潮田氏の手で事実上解任された前CEOの瀬戸欣哉氏だ。前身企業のひとつ旧INAX創業家の伊奈啓一郎氏らの支持を得て、瀬戸氏自身を含む次期取締役候補8名(うち社外取締役4名)を株主総会に提案。選任された暁にはCEOへの復帰を目指すと宣言し、支持を訴えている。
海外事業の立て直しが急務
株主総会に向けて、両者の争いに注目が高まる中、現時点ではっきりしていることが1つある。総会で勝ち残った新経営陣にとってLIXILの経営正常化、なかでも連結売上高の3割を占める海外事業の立て直しが「茨の道」であることだ。
海外での売上高は2009年3月期にはわずか118億円にすぎなかったが、10年後の2019年3月期は5518億円と46倍以上に急膨張した。原動力になったのは海外企業の大胆なM&A(合併・買収)である。
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