プリンスホテルがいま「会員制」に進出するワケ ユーザーとホテル、双方のメリットとは?
また、高齢者や子ども連れのファミリーにも利用しやすいように、客室棟と温泉棟の間を結ぶモノレールも新設した。さらに今後は、ゴルフ場やスキー場、ほかのプリンスホテルのレストランなども利用しやすくするために、施設間を結ぶシャトルバスの運行も充実させるという。
ちなみに会員権に関しては、ホテルタイプとヴィラタイプでは権利形態が異なる。
ホテルタイプは入会時に預託金を預け入れる「預託制」をとり、権利期間は15年。一方、ヴィラタイプは建物を共同所有する「共有制」で権利期間は35年だ。いずれも年会費のほか、利用時における使用料が発生するが、ゴルフ場などを会員価格で使える特典が付く。
費用は、例えば、ホテルタイプは募集価格1口380万円台(うち預託金150万円)~、年会費は1口11万8800円、利用料金は1泊につき大人4536円、子ども3132円となっている。
今後の出店・会員獲得戦略は?
バケーション クラブは、将来的に20カ所くらいまで施設を増やす計画とされているが、出店にあたりどのような戦略を考えているのか。
荒原氏は、まず出店エリアについて、「会員制ホテルの需要は、首都圏から車で2~3時間という場所が、マーケットとして強い。今回出店する軽井沢、伊豆に加え、箱根や鎌倉・大磯といった湘南エリア、日光あたりが候補として視野に入る。
首都圏で十分にネットワークを構築した後は、飛行機を使って2時間半から3時間くらいのエリアを検討する。具体的には羽田から飛行機で1時間半、現地の空港から1時間くらいの場所として、北海道などが候補となる」と話す。
ちなみに、これまでプリンスホテルが進出していない、まったく新規のエリアへの出店も考えているのかということに関しては、「すでに所有しているアセットを活用しての展開が前提となる」(荒原氏)とする。
ここで1つ疑問が湧く。バケーション クラブを増やしすぎると、既存のプリンスホテルのパブリック営業の客室数が減り、使い勝手が悪くなるのではないだろうか。
この点について荒原氏は、「どのようにバランスよく組み立てていくかが重要だ。軽井沢もそうだが、かなり稼働率が高いリゾート地も出てきている。そうした場所では隣地に新しい建物を造るなどして、会員制とパブリックのホテルを併用するなど、さまざまな考えがありうる」と話す。
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