タピオカブームの影に潜む「ポイ捨て」の深刻さ 捨てられた容器の見るにたえない無残な様子
また少し進むと、清涼飲料水の自動販売機があった。傍らに設置された「自販機専用空容器リサイクルボックス」に近づいて中をのぞくと、やはりタピオカミルクティーの容器が詰まっていた。写真を撮ろうとカメラを用意しているうちにも、2人の若いカップルが目の前でタピオカミルクティーの容器をボックスに無理やり押し込んでいった。
植え込みの間にもタピオカミルクティーはあった。近くには、渋谷区が設置した「ポイ捨て禁止 やめよう!タバコ・ガム・空き缶のポイ捨てを」「マナーを守り、まちをきれいに」という警告の看板が立っていた。
結局、表参道に到着するまで、30分程度歩いただけでも、10個ほどの容器が不適切な場所に捨ててあった。もちろん、ほかのゴミもあったが、タピオカミルクティーの容器の多くは中に飲み残しのお茶やタピオカが残り、より不衛生に感じた。
その後、表参道や明治通りの周辺に集中しているタピオカミルクティーの店舗をいくつか見てみた。どのお店も人気店らしく、行列ができている。店舗によってはエントランスにゴミ箱を設置しているところもあったが、多くの人が買って立ち去っていたようだった。
もちろん、キャットストリートだけでなく、表参道や明治通りにも容赦なくタピオカミルクティーの容器は捨てられていた。
タピオカの廃棄に苦慮、渋谷区は対策を検討へ
「現状、困ってます」。開口一番、話すのは渋谷区環境政策課の担当者だ。渋谷区では、かねて来訪者が多いことから、ゴミのポイ捨てに悩まされてきた。
1998年から「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」を施行、主要な駅の周辺を「環境美化・浄化推進重点地区」として指定するなど、ゴミのポイ捨てをなくす活動を進めている。
重点地区である渋谷駅周辺では1日に数回、業者による清掃を行っているほか、多くのボランティアもゴミ拾いに協力しているが、タピオカミルクティーの容器のポイ捨てで新たな問題が起きているという。
「ボランティアの方たちからの報告で最近、とても多いのがタピオカミルクティーの容器です。飲み残しが多く、固形物であるタピオカの廃棄に困っていると聞いています」と話す。心配なのは、これからの季節だ。「今から夏に向かって飲み残しが腐ったり、虫がわいたりネズミがたかったりする心配があります。今後、なんらかの対策を検討しようと考えています」。