道筋見えた、西武の「良い形での上場」 ハゲタカも容認?早ければ4月にも上場か

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株主総会の会場に向かうサーベラス幹部(撮影:尾形文繁)

西武側は真っ向から反対し、株主に向けてTOBに応じないよう求めた。さらには、サーベラスが企業価値の最大化を図るためにプロ野球・埼玉西武ライオンズの売却や西武秩父線の廃線を提案していたことを暴露した。

そうした行動もあってか、世論も含めて追い風は西武側に吹くことになった。結果、TOBに対する応募は3.04%にとどまり、2013年6月の株主総会でもサーベラス側の取締役候補案は否決された。

株主総会後に歩み寄りの姿勢

経営側と大株主との間に大きな溝が生まれることになったが、その後の半年は解決策を模索する期間となっていった。西武HDの後藤社長は株主総会の後、「上場に向けての話し合いを、われわれからも働きかけていきたい」と話し、7月にはサーベラスと大株主である日本政策投資銀行、農林中央金庫、そして西武HDが一同に会した4者協議が行われている。その中で、「サーベラス側からトップ同士(サーベラスのファインバーグCEOと西武HDの後藤社長)の話し合いによる解決を求める意見も出た」(関係者筋)という。

その後は、昨年末から年明けにかけて、トップ同士による何かしらの話し合いが持たれたもようだ。西武としては、今年6月の株主総会を控え、昨年と同じような混乱劇は避けたいとの思惑がある。一方、サーベラスとしても、西武HDの業績が過去最高水準で推移していることに加え、株式市場が活況を呈しているこの時期に上場させることで、当初サーベラスが目論んでいた2000円前後の公開価格に少しでも近づけられると踏んだのだろう。

いずれにせよ、1万4000人を超える株主から、沿線住民、地元自治体まで巻きこんだ西武HDの上場をめぐる混乱が収束に向かっていることは確かだ。関係者が切望していた「良い形での上場」というゴールが、いよいよ近付いてきている。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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