バスト計測わずか5秒!ワコール原宿店の衝撃

次世代型店舗で、下着の選び方は変わるのか

今回の店舗のプロジェクトが社内で動き出したのは1年半前。それ以前の2016年ごろから、デジタルを活用した接客の可能性を検討してきたという。ワコールの伊東知康社長は「量販店や一部の百貨店が閉店していき、われわれの主要チャネルが下降する中、お客様とどうコミュニケーションをとっていくか、将来像を模索し始めた」と振り返る。

ワコールの国内事業の柱は、百貨店と量販店での卸売りだ。中~高価格帯のワコールブランドを主に取り扱う百貨店売り場では、これまでも販売員による採寸や、体型の悩みに関する相談対応を重視してきた。加齢とともに体型は変化する一方、下着のサイズが適していないと、きついなどの違和感を感じたり、シルエットが美しく見えなかったりするからだ。ワコールの調べでは約7割の女性が間違ったサイズの下着を身につけているという。

だが、百貨店自体の集客力が衰えているうえ、販売員が多数常駐する下着売り場はハードルが高いイメージがある。特に採寸は、販売員に体を触られたり見られたりすることへの抵抗感も根強く、ストレスに感じられがちだ。ここ10年ほどの間、接客の少ないユニクロなどの大手小売店が安価で楽な着心地の下着の投入を強化する中、ワコールにとって20~30代の顧客への訴求は大きな課題だった。

採寸データをどう生かす?

原宿の店舗ではスキャナーで誰にも見られず短時間で気軽に採寸できるため、若い世代の顧客取り込みが期待できる。実際、ワコールが昨年全国各地の百貨店などで無料サイズ診断のイベントを開催したところ、利用者の半数が20~30代だった。

ブラトップのような着心地の楽な下着を好んできた人が、「体型が心配になった」と訪れることも。「体の悩みやサイズを知りたいという関心はあるのに、これまでの売り場は入りづらさがあった。(来店の)垣根を低くすることでワコールがどんなサービスや商品を展開しているかを伝えていきたい」(伊東社長)。

デジタルでの採寸は、データ蓄積という面でも事業戦略上の大きな武器となる。ワコールは2021年度までに、直営店や既存の百貨店売り場を中心にボディースキャナー100台を導入する計画。投資額は非公表だが、原宿の店舗だけで年間1万5000人の採寸を見込む。積み上がった採寸データと購買データを商品企画にも生かすことができる。

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