バスト計測わずか5秒!ワコール原宿店の衝撃 次世代型店舗で、下着の選び方は変わるのか

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また、目下ワコールが強化しているのが、顧客一人ひとりのニーズに沿ったサービスの展開だ。ワコールではベビーからシニアまで各年代に適した下着や肌着のほか、マタニティやスポーツウェアも製造しており、この商品の幅広さが強みでもある。

これまで百貨店の売り場では紙ベースで顧客のカルテを作成していたが、それらの電子化を進めており、今年度中に直営店と百貨店売り場、ECの顧客データの一元化も完了する。ここに採寸データが合わされば、顧客のライフステージや体型変化に応じて、自社が展開する商品群の中からよりニーズに合致したアイテムを提示できるようになる。

百貨店の化粧品と下着の共通点

今後の展開に向けてハードルがあるとすれば、百貨店売り場へのスキャナーの導入だろう。商業施設などにテナント出店する直営店は、ある程度自社の判断で柔軟に店内の仕様を変えられるが、百貨店の場合は事情が異なる。下着売り場全体のスペースが限られるうえ、売り場内では他社のブランドの商品も多数取り扱う。現在、導入を見据えて百貨店と商談を進めている最中だが、館によっては説得に時間がかかる可能性もある。

ワコールの伊東知康社長は「ワコールのビジネスの根幹は商品だけでなく、採寸などの販売員による接客を通じたコンサルティングの両軸で成り立っている。これまでは売り場の敷居の高さがあってか、後者のサービスが十分に伝わっていなかった」と語る(撮影:尾形文繁)

それでも伊東社長は「スキャナーの導入は売り場の付加価値を高めることにつながる」と強調する。現状、百貨店では化粧品や食品が伸びを牽引する一方、下着やアパレルは低迷が続いている。「百貨店で化粧品を買う若い人が増えた理由の1つは、美容部員による肌診断や悩み相談にも価値を感じているから。下着売り場も同じで、体型相談や採寸などのサービスの価値が伝われば伸びしろはある」(伊東社長)。

「女性が美しくなることをお手伝いする」を経営理念に掲げるワコール。自分に最適なサイズや商品が気軽に把握できる次世代型ショップの投入は、下着選びの従来のイメージを一新することができるだろうか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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