コンサル集団に変われない銀行は捨てられる

再編統合しても、社内がややこしくなるだけ

できるだけ店舗には行かず、対人接点を持たずにスマートフォンで諸事万端、手続きを済ませたい10~20代の「Z世代」を中心とした消費行動(筆者は「行かない革命」と呼んでいる)は、銀行のみならず百貨店、スーパーなどの流通はもちろん、働き方、生き方にまで革命的変化を起こしている。

こうしたデジタライゼーションの猛烈な普及は銀行に、預金・送金・決済といったトランザクションバンキングサービスの自動化を迫る。そうした変化は、今後数年間で劇的に進むだろう。すでにメガバンクでも業務削減の動きが顕著だ。

かといって、トランザクションサービスに従事していた人材を営業に配置転換すればいいという単純な話では済まない。金融庁は、資産運用の活性化を重要政策として掲げ、顧客本位の取り引きを求めているためだ。投資信託の回転売買、手数料の高い外貨建て保険商品や複雑な仕組み債の販売、資産形成につながらないアパートローン、カードローンなどにも監視の目を光らせている。

苛烈なノルマで営業を推進して荒稼ぎする伝統的な手法も長続きしない。結局、営業に人手を回しても、現実的には経費に見合う収益につながらず、人手がコストを圧迫するのは目に見えているというわけだ。もはや銀行が社会に提供する価値に照らし、その給与が高すぎるという現実を直視せざるをえない。

当然、経営が考えるのは人員削減だ。しかし、生き残りのために規模拡大や再編統合に邁進し、肥大化した組織で社内政治に忙しい多くの銀行員にとって、まさかの「人切り」には相当の抵抗があることは想像に難くない。

「課題解決型のコンサル集団」に生まれ変われるか

では、「未来の金融」とは一体どのようなものか。

それは「銀行が銀行であることをやめ、未来創造業として生まれ変わること」だ。かつて人力車を引いたり、馬車の御者(ぎょしゃ)をしていた人間がドライバーになったように、銀行員の仕事もいずれ変わる。

未来に必要になるのは、取引企業がグーグル検索だけではたどり着けない課題解決策を提供する「銀行員の総コンサルタント化」だ。銀行によるビジネスマッチングなどの押しつけ型(プロダクトアウト)コンサルではない。融資機能も持ち合わせているが、顧客が真に悩んでいる課題の解決まで伴走型で取り組むコンサルティング集団だ。顧客企業の生産性向上、IT(情報技術)インフラの導入、人材育成など、事業者の悩みは実に深く、幅広い。

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