コンサル集団に変われない銀行は捨てられる

再編統合しても、社内がややこしくなるだけ

また、銀行がこうしたコンサルサービスを展開するには自行の組織改革も不可欠だ。銀行本部からコンサル営業に人員を送り出すにしても、本部の決裁承認手続き、報告、経営会議の議事録、本部申請書、社内稟議(りんぎ)などを簡素化、効率化しなければならない。

顧客の悩み事をせっかく受け取ってきたのに「やりっ放し」では元も子もない。顧客の課題情報の管理や解決のレスポンスの早さも含めた、銀行の本部と営業店の生産性向上は不可欠だ。皮肉を言えば、自分の組織内でさえできない生産性向上の改革を銀行が顧客企業に導入できるはずもない。

さらに言えばペーパレスなどの目に見える変化はもちろん、社内政治を持ち込まない組織文化づくり、真の意見交換ができる会議の運営など、旧型銀行の常識を捨て去るスピード感と実行力が求められる。これらを同時に行うにはシステム戦略、店舗統廃合などのコスト戦略、人事・業績評価を「総取っ換え」しなくてはならない。基本ソフト(OS)を交換するくらいの改革の覚悟が必要だ。実は、このような改革は一部の銀行ではすでに始まっている。

持続可能な未来を描くために「原点回帰」せよ

地銀グループの子会社や、地銀が中心となって設立している地域商社にも銀行の未来を変える1つの可能性がうかがえる。

山口銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループの地方創生コンサル専門子会社「YMFG ZONEプラニング」(下関市)は、地域全体の課題をコンサルし、解決に取り組む会社だ。日本マイクロソフトと組んで、自社のペーパレス化・職場を選ばないフリーアドレス化に取り組むだけでなく、企業・自治体の導入提案、支援を通じた地域全体の生産性向上を目指している。

ほかにも副業・兼業を含めた首都圏からの人材還流でベンチャー企業と協業し、長門湯本温泉のまちづくりファンドも組成した。下関市のまちづくり事業の受託業務では、デザイナーのナガオカケンメイ氏が創設したD&DEPARTMENTなどと連携し、ワークショップや観光ガイドの作成にも取り組む。これまでの「お堅い銀行」のイメージとは、かけ離れたセンスが光る。

北海道銀行が中心となってつくった地域商社「北海道総合商事」(札幌市)も地銀業界で話題だ。

ロシアやベトナムなどでの商機拡大を後押しするユニークな商社だ。企業進出支援はもちろん、寒冷地技術を活用したホテル建設プロジェクトの参画やゴミ処理施設の輸出をも手がける。農業法人と共同で植物工場への野菜の生産指導、ベトナムでの高糖度のトマト栽培、野菜の買い取りと道内外への販売、牛丼チェーン「松屋」のロシア進出支援など農業や食の販路拡大、生産性向上にも本気だ。

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今、地銀では未来に絶望し若手が大量に早期退職をしている。金融庁も地銀の持続可能性を点検するために導入する「早期警戒制度」で、ヒューマンアセットの頑強さを確認する方針だ。地滑り型で若手が大量退職する銀行の持続可能性が警告信号であることに議論の余地はない。

一方、ここで紹介した地域商社などで主人公となっているのは同じ銀行員であることを忘れてはならない。「理想論だ」と耳をふさいでいる場合ではない。取引企業の持続可能な発展、個人顧客の着実な資産形成を通じて「地域の役に立つ」という原点回帰をせずに、一体、どのような未来を描けるのかに目を向けるべきだ。

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