FRBの次期副議長、フィッシャー氏の横顔 イスラエル中央銀行時代の実績
[10日 ロイター] -オバマ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)の次期副議長に指名したスタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁は、メキシコやアジアの経済危機では最前線で調整に当たり、2008年の世界金融危機ではイスラエル中銀総裁として発揮した手腕が評価された。
指名が承認されれば、景気を阻害せずに米緩和縮小を進めるため、イエレン次期議長を補佐するという新たな役割を担うことになる。
以下は、フィッシャー氏の横顔。
◎旧北ローデシア(現在のザンビア)生まれ。
◎イスラエルと米国両方の市民権を有する。イスラエル中銀総裁としての在任期間は8年で、6月に退任。
◎1994─2001年に国際通貨基金(IMF)筆頭副専務理事、それ以前は世界銀行でチーフエコノミストの職に就いていた。
◎長年、マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学の教鞭をふるったフィッシャー氏の教え子には、バーナンキFRB議長や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、サマーズ元米財務長官に加え、グレゴリー・マンキュー氏など著名経済学者が名前を連ねる。
イスラエル中銀総裁時代
温厚で知られるフィッシャー氏だが、率直な性格で、短気を起こす一面もある。昨年6月、当時のイスラエル・シュタイニッツ財務相が同国の財政赤字目標を2倍の3%とする計画を発表した際、フィッシャー氏は経済の力を弱め、中銀が利上げせざるを得なくなる、と警告した。
不況に見舞われたイスラエルに対して、2003年に米国が実施した融資保証に言及し、この時には米国に保証を求めざるを得なかったが、今は米国も問題を抱えている上、金銭的な余裕もなく、それほど友好的でもない、と述べていた。
イスラエル中銀総裁時代にはしばしば、金利決定で市場を驚かせ、中銀幹部の助言に耳を貸さないこともあった。例えば2008年11月に下された0.5%ポイントの利下げ決定を支持したのは、協議した5人の幹部のうちたったの1人だった。