観光客とゴミであふれる「カプリ島」がした決断 「青の洞窟」を守るために一歩踏み出した
1810年から先祖代々カプリ島で暮らしているルイジ・エスポジートは、人々がこの島を「世界で最も美しい場所」と言っているのを聞くと、反論する。「世界には美しい場所がたくさんある」とカプリ島でトレッキングの会社を運営しているエスポジートは言う。「ここがベストだなんて、誰が言ったんだ?」
有名なカプリ島の美しさが、イタリアによくある2つの問題によって深刻な危機にさらされていると主張するのはエスポジートだけではない。その問題とは、観光客とごみだ。面積約10平方キロ程度という小さなこの島に、年間230万人の観光客が訪れるが、すべての人が持ち込んだものを持ち帰ってくれるわけではない。
6~9月は観光客であふれかえる
そこでカプリ島は対策に乗り出した。カプリ市のジョバンニ・デ・マルティーノ市長は、あらゆる種類の使い捨てプラスチック製品の使用を市内で禁止することを決定し、5月1日に規定が施行された。禁止の対象には観光客が持ち込むプラスチック製の袋や飲料用ボトルも含まれ、違反した場合には500ユーロ(約6万2000円)の罰金が課せられる。
「われわれが直面している問題は、すべての町が抱えているものと同じだ。しかし、私たちにとって自然環境はより重要だ。なぜならカプリの美しさは、世界の遺産の一部だからだ」とデ・マルティーノは言う。
ベネチアやクロアチアと同様、カプリ島は以前から観光客の流入による問題に取り組んできた。6〜9月には島の港や広場は大勢の観光客であふれかえる。
カプリ市当局はかなり前に、自動車と自転車の使用を禁止した。市内を移動するには歩道と階段でどこへでも行くことができ、物の輸送には電気自動車のみ使用が許されている。一方、カプリ島の西側を占めるアナカプリは自動車を認めている。
プラスチック禁止の新たな規制も十分ではないと考える人もいる。地元団体のCapriamociは観光客を輸送する船を制限するよう訴えている。
「2000年前から私たちはあらゆる人々を迎え入れてきた」とCapriamociの広報担当者シモーネ・ディ・マルティーノは言う。「しかし、訪れる人はルールを尊重すべきだ」。