高嶋政伸「平成に大胆な変貌とげた」異色の経歴 「離婚スキャンダル」乗り越えて開いた新境地

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かつては「弟キャラ」としてお茶の間の人気者だった高嶋政伸さん。近年ではすっかりヒール役が定着した彼の、普通ならざる役者人生に迫る(写真:日刊スポーツ)

令和のお祭り騒ぎもやっと一段落し、各メディアでの平成を振り返る企画もほぼほぼ終わった。そのタイミングを狙って、誰も書かないであろう平成の名優を振り返ろうと思う。1988年から2019年で、最も「変貌」を遂げた俳優だ。

いい意味の「豹変」とはちょっと違う。30年弱をかけて、いろいろなものが削ぎ落とされて、というか、剥がれ落ちた印象。うっかり露呈しちゃったがゆえの精神的解放感も強い「変貌」。今や名悪役として各局から引っ張りだこの高嶋政伸である。

「え、ド変態の性癖をさらけ出した人でしょ?」と思うかもしれないが、それは兄の髙嶋政宏のほうね。髙がハシゴ高のほうね。兄弟で字が違うというのもトリッキーだが、今回は弟・高嶋政伸のほうである。

「好青年で弟キャラ」の恵まれたスタート

政伸はタレント・高島忠夫と元宝塚女優・寿美花代の次男であり、兄は俳優の髙嶋政宏。華麗なる芸能人一家に生まれた政伸の俳優デビューは、1988年のNHKの朝ドラだ。

母である寿美の著書『息子たちへ』を読む限りでは、当時出演していた兄が根回しとセッティングをして、弟を現場で紹介したという。政伸はそんなこととはつゆ知らず。藤山寛美のファンだった政伸は、その娘・藤山直美に現場で会うことを楽しみに兄についていったそうだ。そこで制作陣の目にとまり、俳優としての人生を歩み始めた。

ま、そこは母が語る内容なので多少の記憶違いもあるかもしれないし、高島一家が所属する東宝芸能が作り上げたストーリーかもしれないが、政伸が昭和の終わりに俳優デビューを飾ったことは間違いない。平成を語るにちょうどいい人材である。というか、天才喜劇役者・藤山寛美のファンってところがツボでもあり、のちのちの政伸を形成する重要な要素とも言える。

平成初期、政伸は好青年の弟キャラというイメージで、世間に浸透していく。熱血ホテルマンの主役を演じた「HOTEL」(1990年~、TBS)は、「姉さん、事件です」が売り文句だった(たぶん、母さんと呼びかけるスタイルの名作ドラマ「北の国から」へのオマージュだったと思う)。巨大ホテルで起こるさまざまなトラブルや人情噺を姉に伝えるスタイルのナレーションは「頑張る弟」の印象を植えつけた。

次ページ「国民的弟キャラ」として愛され続けた平成前期
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