広告業界「万年3位」ADKは今どうしているのか 上場廃止から約1年、大変革期を迎えている
広告業界3位のADKホールディングスが、大きな変革期を迎えている。
ADKは1999年に旭通信社と第一企画が合併して誕生した。扱い高は電通、博報堂DYホールディングスに次ぐ3位だが、大きく離れた「万年3位」。合併直前の1998年に世界最大の広告会社・英WPPグループと資本業務提携したものの、大手2社との距離が縮まることはなかった。
世界最大手との提携をようやく解消
転機となったのが、2017年秋に実施した株式公開買い付け(TOB)だ。目的の1つはWPPとの提携解消。WPPはADKに約24%を出資する筆頭株主だったが、両社の関係は冷え切っていた。とくに2008年秋、リーマンショックのあおりからADKの業績が低迷すると、「WPPは提携先ではなく、物言う株主(アクティビスト)に変わった」(ADK幹部)。WPPがADKの株主総会で会社提案に反対票を投じ、薄氷を踏む採決になることもあったという。
別の幹部は「デジタル化が急速に進む中、WPPとの問題ばかりに時間を浪費していた」と振り返る。そうした中、ADKはアメリカ・ファンド、ベインキャピタルと組みTOBに踏み切る。当初WPPはTOBに反対していたが、総額約1500億円をかけたTOBは無事成立、2018年3月にADKは上場廃止となった。
上場廃止からおよそ1年、ADKはどんな企業に変わろうとしているのか。
少なくとも目に見える変化が2つある。1つは、外部からの多くの人材がADKに加わったことだ。顕著なのが、経営陣だろう。ADKの現在の執行体制を見ると、外部からの登用が目立つ。
全社的な構造改革を担うCTO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)は、電通からベインキャピタルに転じた稲田博樹氏。財務戦略を担うCFOは、米証券大手メリルリンチからスマホゲーム大手のグリーを経て入社した秋山仁氏。そしてデジタル戦略を率いるCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)には、電通で10年来デジタル戦略を手がけてきた大山俊哉氏が就任した。
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