ファーウェイ禁輸、日本企業に「意外な楽観論」 「影響は小さい」電子部品メーカーの本音

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今回の禁輸措置により、一定水準以上のアメリカの技術が使われている製品は受注の有無を問わず、事実上ファーウェイに出荷できない。大手電子部品会社の大半は「3カ月前からファーウェイに対する規制が始まるとみていたので、対象製品の精査は済んでいる」(大手電子部品複数社の幹部)。実際、該当する製品はTDK、太陽誘電ともわずかだという。

TDKはアメリカのセンサー設計開発企業インベンセンスなどを子会社に持ち、一部センサーなどが規制の対象とみられる。同社関係者は「ファーウェイ向けに出している中の十数%の規模もない」と、影響は小さいと強調する。太陽誘電も、売り上げの大半は電圧調整を担うコンデンサーという電子部品で、日本が技術的に世界をリードしている部品でもある。アメリカの技術割合が低いことは確かだ。

積層セラミックコンデンサーで世界トップシェアを誇る村田製作所も、ファーウェイ向けは売り上げ全体の4%前後とみられる。iPhoneのカメラなどにも搭載されているアクチュエーターを製造するアルプスアルパインはファーウェイとの取引額は同じく0.5%程度にとどまる。

市場全体での部品供給は減らない

イギリスの半導体設計会社・アームがファーウェイ向けの技術供与を停止し、ファーウェイ製スマホに搭載する半導体が調達困難になるとの報道が広がった。日本が強みを持つ半導体製造装置メーカーの株価も下落したが、今回のファーウェイ騒動がすぐに業績に影響するとの見方は少ない。

例えば、東京エレクトロンは、アメリカ商務省が禁輸措置対象のリストに加えた69社の一部とかつて取引があったが、取引は現在ないという。

電子部品各社が「影響はない」と口をそろえるのは、「スマホや通信基地局の市場でファーウェイのシェアが落ちても、ほかのメーカーへの部品供給が増える」ことが期待できるからだ。日系の電子部品メーカーはアメリカのアップルや韓国のサムスンとも取引がある。ファーウェイのシェアが落ちても、消費者はほかのメーカー製のスマホを購入するため、市場全体としての部品供給は減らないとの見方だ。実際、一部の電子部品会社の幹部は「韓国系スマホメーカーから増産の可能性が高まっていると聞いている」と明かす。

一方、日本の多くの電子部品メーカーにとって最大の顧客はアップルで、「iPhoneは価格帯やOSなどファーウェイと異なる点が多く、(日系部品メーカーにとって)あまりプラスにならない」(大手電子部品会社幹部)との声もある。

今回のファーウェイショックによって、日本企業には一時的に影響が出るだろう。ただ、部品メーカーとしてさまざまな顧客に部品を販売しているのが日本メーカーの強み。現時点ではファーウェイが日本に及ぼす直接的なインパクトは大きくないと言えそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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