イー・モバイルが月780円定額の音声新プラン発表、データ通信市場もライバル登場で活性化へ

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イー・モバイルが月780円定額の音声新プラン発表、データ通信市場もライバル登場で活性化へ

イー・アクセスの持分法適用会社で、2007年3月にデータ通信サービス、08年3月に音声通話サービスを開始したイー・モバイルは、データ通信に強い携帯事業者としての地位を固めつつある。

08年12月末には、累計で112万の契約を獲得したが、さらに勢いを加速すべく、今年1月28日、月額基本使用料780円(定期契約などが条件)でイー・モバイル加入者同士の24時間通話し放題を実現するという、音声サービスの新プランを発表した。他社が追随する動きは今のところはない。

この背景について千本倖生イー・モバイル会長兼CEOはこう語っている。「日本経済が苦しくなり、家計も厳しい。携帯料金も安くていいものを出していくべきで、これは消費者が望んでいる。(携帯業界では)月額980円の基本使用料が一般化しているが、ここを企業努力で2割下げて780円にした」。

阿部基成副社長は、「今まではデータをガンガン使っていただくことに力を入れてきた。ベースができたので、電話をいくらかけていただいても吸収できる」と、2台目端末としての需要喚起につなげたい考えだ。

得意のデータ通信に関しては、今09年、強力なライバルが登場する。イー・モバイルを上回る高速通信スピードを予定しているUQコミュニケーションズ(KDDIの持分法会社)のWiMAX(次世代無線通信)サービスで、現在のイー・モバイルを上回る高速通信スピードを予定している。対するイー・モバイルも、「よきコンペティターが出てきて、データ通信市場は活性化される」(千本氏)との受けて立つ構えを見せる。

08年はネットブック(安価なミニPC)とデータカードの組み合わせで契約数獲得に勢いをつけたイー・モバイルだが、ライバルへの対抗策を講じるというだけに、09年もこの市場は盛り上がりそうだ。

イー・アクセスの詳細はこちら 

 

下写真:新サービス発表に先立ち、スウェーデン王国ステファン・ノレーン駐日大使よりスウェーデン王立工学アカデミー外国人会員の認定状の授与を受ける千本倖生会長

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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