「半沢直樹」の続編決定に7年もかかった意味

秀逸な物語だがさらなる進化も問われる

加えて「半沢直樹」は、「相棒」「科捜研の女」「ドクターX」のような一話完結型ではなく、5週間をかけて大きなテーマを追う複雑な物語。原作こそありますが、それを1冊5話に分割した上で、各話の終盤に盛り上がるようなストーリーに脚色するのは、想像以上に難しいことなのです。

2部構成で物語の面白さは鉄板

「半沢直樹」の続編は、「半沢直樹シリーズ」の残り2作である「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」の映像化として予定されています。

第1弾の最終回は、銀行内の不正を明らかにした半沢が「出向を命じられる」という衝撃のシーンで幕を閉じました。続編は半沢が出向先の東京セントラル証券に赴任するところからスタート。

つまり、登場人物たちがガラッと変わるのですが、もちろん出向元の東京中央銀行も大きく関わってくるだけに、第1弾と同様に「絶体絶命と下剋上」「二転三転の逆転劇」の物語が見られるでしょう。ここで詳しい内容は書けませんが、第1弾に続いて小説2冊を贅沢に使った2部構成が予定されている上に、「ロスジェネの逆襲」は「シリーズ最高傑作」の呼び声も高いことから、「物語は不安なし」と言っていい気がします。

ただ、演出の面で第1弾の世界観を踏襲するかは未知数。「現代版『水戸黄門』と言われたほど、けれんみたっぷりの勧善懲悪は7年過ぎた2020年でも受け入れられるのか?」と言われれば疑問を持たざるをえないからです。

事実、そのほかの池井戸作品も勧善懲悪をベースにした点は変わらないものの、「陸王」「下町ロケット2」の敵役は「半沢直樹」ほどの憎々しさはなく、それぞれ事情のある悪人というイメージでした。「半沢直樹」以降、「倍返しだ」のような決めゼリフがなかったことも含めて、演出の面では、令和になり2020年代に入ったことに合わせた変化が見られるのではないでしょうか。

また、伊與田英徳プロデューサーは、これまで池井戸作品で、吉川晃司さん、松岡修造さん、古舘伊知郎さん、阿川佐和子さんなど、サプライズ色の濃いキャスティングで視聴者を驚かせてきただけに、この点でも期待していいでしょう。

気は早いですが、もし来年春放送の続編が成功したら、さらなる第3弾や映画版の可能性もふくらみます。続編で「半沢直樹シリーズ」の計4冊を出し切る形になりますが、「下町ロケット」の続編をスピーディーにリリースした池井戸さんなら実現可能であり、放送局のTBSや出版社にとっては願ってもない話でしょう。

2017年に7年ぶりの続編が放送された『コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)、2014年に13年ぶりの続編が放送された『HERO』は、おおむね好評でした。やはりヒット作の続編は、「賛否はあっても見たくなる」「けっきょくコンテンツの力が強い」だけに、「半沢直樹」の続編にも期待していいのではないでしょうか。いずれにしても、あのBGMを聴けば興奮がよみがえるのは間違いありません。

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