「半沢直樹」の続編決定に7年もかかった意味 秀逸な物語だがさらなる進化も問われる

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ただ、原作小説の続編には、大和田や花の出演機会がないなど、「人気キャラの見せ場があるとは限らない」のも大きな問題。人気キャラが出ないと「なぜ出さない」と言われ、原作を脚色して登場シーンを作ると「余計なことをするな」と言われてしまうため、制作サイドにはできるだけ多くの人を納得させる適切なプロデュースが要求されます。

続編が制作されない理由をめぐる憶測

第1弾の放送後、続編が制作されない理由について、さまざまな媒体で憶測を含む記事が錯綜。「堺雅人が避けている」「俳優のスケジュールがまとまらない」「TBSが俳優と原作者を怒らせた」などの声が挙げられていました。

ただ事実として揺るぎないのは、原作者の池井戸潤さんとTBSの関係は、2013年の「半沢直樹」以降、良好そのものであること。2014年に「ルーズヴェルト・ゲーム」、2015年に「下町ロケット」、2017年に「陸王」、2018年に「下町ロケット2」が放送され、いずれもヒットしました。

さらに2019年も、2月公開の映画「七つの会議」をTBSのスタッフが手がけたほか、7月から「ノーサイド・ゲーム」が予定されるなど、一年に一作ペースで実写化してきたことから、池井戸さんが「半沢直樹」の続編にストップをかけることは考えられません。

一方、主演の堺さんは、「半沢直樹」以降、2013年と2014年に「リーガルハイ」(フジテレビ系)で毒舌の弁護士、2015年に「Dr.倫太郎」(日本テレビ系)で穏やかな精神科医、2016年に「真田丸」で知略に長けた武将、2017年に映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」で怪事件を解決するミステリー作家、2018年に映画「北の桜守」では老いた母に寄り添う米国企業の日本社長を演じてきました。

ほぼ1年に1作ペースであり、それぞれ役柄のギャップが大きいことから、堺さんがいかに出演作を吟味しつつ全力投球している様子がうかがえます。そのおかげで、今ではすっかり、「堺さん=半沢直樹」というイメージは薄れ、堺さんにとっては「演じられる引き出しのひとつ」という位置づけになりました。

次ページ堺雅人が「リーガルハイ」続編で語ったこと
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