4時間切りで新時代突入、「北海道新幹線」の課題

札幌延伸時は「大宮」の重要性が増す?

ところで、この試験期間中に北海道胆振東部地震が発生したため、時速180km走行を確認した段階で試験は中断となっている。積み残しとなった高速化試験は今年、実施日のダイヤを空ける日程調整を行い、改めて実施する。

この結果、まずは青函トンネル内時速160km走行が実現し東京―新函館北斗間3時間58分の列車が登場した。

だが、こうした動きは歓迎される一方、3年前の開業に間に合わせてくれれば……などの恨み節が聞こえないわけではない。4時間切りを達成したものの大いに限定的であるし、新幹線の名にふさわしい時速200km走行はさらに期間を絞った臨時列車となる。

1970年代までさかのぼる枠組みに縛られ、今も時速260kmに抑えられている整備新幹線と同様、青函の貨物走行についても多くの関係者の利害、それぞれの負担能力や意志が絡み、ことがこの期に及ぶまで牽制し合う状況があったようだ。かなり以前の段階で、高速走行に耐える貨車の新造に国が助成する案もあったと聞くが、実現はしなかった。

成り行きが大いに注目されたT on Tも、現在のJR北海道の体力では新規開発は困難として止まったままだ。代わって貨物列車を最新技術のフェリーを新造して航送する案や第2青函トンネルを作る案も出てきたが、今のところ提唱されたという段階にとどまっている。

2030年札幌開業、そのとき

北海道新幹線は、今後2030年度開業を目指して札幌までの延伸工事が行われている。その少し具体的な姿が、4月9日に発表されたJR北海道の「長期経営ビジョン」で明らかになった。

まずは「輸送サービスの変革」の1つとして「東京―札幌間4時間半への挑戦」を掲げている。そのため共用走行問題を抜本的に解決するとともに、時速320kmの高速化を挙げる。これは、時速360km化を目指すJR東日本の車両開発や整備新幹線の整備主体である鉄道・運輸機構との連携を図って進めてゆく。「挑戦」という語句を用いた点に、新幹線に託す決意と、ハードルの高さも感じられる。

この東京―札幌間4時間半運転はWGでの検討が続けられる。また、この5月に試験車両ALFA-Xも完成する東北新幹線の時速360km化は、国土交通省とJR東日本が協議中で、整備新幹線区間の速度向上も国土省と関係者の協議が持たれている。道内の高速走行については、貨物問題や防音壁等の設備の変更のほか、本州あるいは道南とも異なる雪質の問題が大きく関わってくる。

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