「残業をしてない=頑張ってない」?
日本の多くの職場では、残業がそのままその社員の評価に結びつきます。
毎日毎日、遅くまで残業している社員は、日本の会社では「頑張っている社員」であると評価されます。一方で、毎日のように残業せずに定時で帰宅すると、やる気のない、怠けている社員のように思われてしまいます。
業務時間に効率よく仕事をこなして定時帰宅するよりも、ダラダラと仕事をして毎日残業をした上で夜遅く帰るようにしたほうが、上司からの評価もよくなるわけです。
仮に、毎日毎日、定時帰宅ばかりしていたら、
「みんな遅くまで頑張っているのに、お前だけ帰るなんて、何を考えてるんだ?」
と、上司や周囲から圧力がかけられることだってあります。それを避けるために、自分の仕事が残っていようとなかろうと、多くの社員が空気を読んで、周りと同じぐらい残業をしてから帰宅するようにしているのです。
日本の職場では、「残業」は「頑張っていることの証」です。
こういう認識があるかぎり、日本人が毎日のように残業する習慣はなくなりません。
残業をする人ほど、残業が評価されると思っている
残業について、日本人の認識がわかる面白い調査結果が、この前、公表されていました。
内閣府が行った「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」(リンク先PDF)によると、労働時間が長い人ほど、残業に対してポジティブなイメージを持っていることがわかります。
この調査では、1日の労働時間が10時間未満、12時間未満、12時間以上の3グループに対して、それぞれ残業についてのイメージを尋ねています。1日の労働時間が長いグループ(12時間以上)のうち、53%は、残業することで上司から「頑張っている」と思われると感じています。一方で、残業が「仕事が遅い」といったようなネガティブイメージにつながると感じている人は、長時間労働のグループではたったの26%しかいません。
これはあくまで「上司にどう思われていると感じているか」というアンケートなので、本当に上司が残業をポジティブに評価しているかどうかはわかりません。ただ、残業をポジティブに評価されると思っている人が上司になれば、当然、部下の残業もポジティブに評価することになるでしょう。
このことから、長時間労働が常態化しているような職場では、「残業している=頑張っている」、「残業している=責任感が強い」といった認識が横行していることは容易に想像できます。
こういう職場では、いくら残業の無意味を説いても相手にしてはもらえません。
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