叡山電鉄「ひえい」、奇抜デザインの裏に気配り

「楕円」がインパクト、落ち着いたインテリア

旧国鉄の蒸気機関車やディーゼルカー、大手私鉄の特急車両を観光目的で走らせる地方鉄道が多いのは、鉄道遺産の継承という目的もあるが、同時に鉄道や路線のアピールも含んでいる。

一方で既存の電車やディーゼルカーを改造した観光列車も多い。関西で言えば京都府・兵庫県北部を走る京都丹後鉄道の「あかまつ号」「あおまつ号」「くろまつ号」がそうだ。

単にインパクトがあるだけでない

こうした先例を見ると、「ひえい」の成り立ちと見た目に納得できるのである。それに外観を観察していくと、インパクトの強さだけでなく、細部まで丁寧にデザインされていることがわかる。

側面にも連続した楕円の窓がある(編集部撮影)
中央の展望窓。車内は手すりも弧を描く形状で楕円がモチーフになっている(編集部撮影)
車内。手前右側の色が違う長い吊り手がバリアフリー対応部分(編集部撮影)

例えば楕円は前面のみならず、側面の窓にも連続して使われている。ただし金色の枠は中央の展望窓のみで、残りは緑の車体にしっくり溶け込んでいる。

ほかに側面で金を使っているのは、比叡山の山霧をイメージしたという細いストライプと、大地から放出された気のパワーと灯火を抽象化したロゴマークに限っており、華美にならぬよう配慮している。

車内も見どころは多い。楕円のモチーフはドアの脇の手すりに反映しているし、シートは側窓間にロングシートでは珍しいヘッドレストを設けたバケットシートとしている。ドアの上にある路線図や運賃表などの車内表示も洗練されている。

最近の鉄道車両で重視されているバリアフリー対応は、優先席はヘッドレスト部分を茶系とすることで区別し、この部分の吊り革は長めにしている。さらに八瀬比叡山口駅方面のドア付近の座席は折り畳み可能で、車いすやベビーカーのスペースとすることができる。

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