叡山電鉄「ひえい」、奇抜デザインの裏に気配り 「楕円」がインパクト、落ち着いたインテリア

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バリアフリーへの配慮としては、優先座席の色を黄色としてわかりやすくし、頭上の吊革は長めになっている。八瀬比叡山口駅側のドア付近に車いすやベビーカー用のスペースを設けた。

車体前面の鋼板を厚くしてスカートを新設し、車内ではスタンションポールを6カ所に増設するなど、安全性の向上も図っている。限られた予算で効果的にリニューアルを進めたという印象を抱いた。

「ひえい」は金色の楕円、722号車では朱色の車体と、いずれも派手になりそうな色を起用しながら、京都の電車らしい落ち着きも醸し出すことで、新しい「叡電らしさ」が徐々に形成されつつあると感じた。

中心部からのアクセスが課題

そんな叡山電鉄で気になるのは、ほかの鉄道との接続が起点の出町柳駅しかなく、接続する京阪電鉄は京都駅や繁華街の四条河原町・四条烏丸を通らないことである。バスは京都駅や四条河原町・四条烏丸に直行する便があるものの、渋滞による遅延があるうえに観光客で混雑することが多い。

地下鉄で京都駅に行くには2度の乗り換えが必要だし、JR奈良線の東福寺駅経由は遠回り感があって気が進まない。京阪七条駅から京都駅まで歩く人もいるらしいが、距離が1km以上あるので大きな荷物を持った旅行者にはつらい。いずれにしても叡山電鉄は、遠方からのアクセスは抜群とは言えない。

京阪バスが運行する京阪七条と京都駅を結ぶシャトルバス(筆者撮影)

そんな状況を察知したのか、京阪バスは4月1日から「京阪七条―京都ステーションループバス」の運行を始めた。乗車時間は片道約5分で、毎日15分間隔で運行している。

料金は片道230円だが、停留所がある京阪電鉄七条駅と京都駅脇のホテル、ザ・サウザンド・キョウトおよび京都センチュリーホテルで乗継割引券を手に入れれば100円で利用できる。

筆者はこの日、叡山電鉄を訪問した後、京都駅で打ち合わせがあったので、このシャトルバスを使った。七条駅での上下移動、京都駅周辺での水平移動はあるものの、出町柳駅からの直行バスより時間が読めるのはありがたかった。叡山電鉄の個性的な電車で比叡山を目指すなら、選択肢のひとつに入れておくといいだろう。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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