「米中戦争」だけを見る投資家が見落とす本質 本当に「トランプ発言」が波乱の要因なのか?

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たとえば前回のコラム(4月30日付、「浮かれた株式相場が払うことになる巨額のツケ」)では、主力銘柄の決算(キャタピラー、3M、インテルなど)が期待外れであったことを指摘した。これに加えて、アルファベット(グーグル)の決算に対する失望が、同社の株価を下振れさせた。ところが先々週(5月3日に終わる週)までは、「全体の収益が予想よりましだから大丈夫だ」という過度の楽観で、主要な株価指数は堅調な推移をたどった。

マクロ経済統計に関しても、GDPや雇用統計の堅調さばかりをはやし、ISM指数などの不調は、市場は見えないふりをしていた。アメリカの株式市場全般に限らず、物色の傾向についても、前回のコラムでは、ラッセル2000指数の上値の重さや、グロース株(成長株)に偏重しバリュー株(割安株)を放置気味の物色動向の危うさを述べた。

さらに株式市場から他の証券・金融市場に視野を広げると、社債市場でリスク軽視のジャンク債(低格付け債)の買いが行き過ぎているのではないか、という点も指摘していた。加えて、最近の為替市場の動向も、注目に値する。

筆者は毎週配信している有料メールマガジン(世界経済・市場花だより)で、40の外貨の対円相場について、週間の騰落率ランキングを算出し、騰落率ベスト10とワースト10を紹介している。それによれば、世界的な株価下落が進んだ先週は、もちろんリスク回避のための円高が進み、対円で上昇した外貨は、40通貨中ゼロだった。それどころか、すでにその前の週は対円で上昇した通貨は9つ、その前はゼロ、その前は8つにとどまっていた。つまり、先々週まで世界の株価が過度の楽観で「誤って」上値を追っていた間も、外貨市場では、経済実態の悪化や政治的な不透明要因などを「正しく」反映して、外貨安・円高が何週間も進展していたと言える。

中国ばかりを気にしていてよいのか?

そうした足元の動向は別として、これから中期的な(数か月単位の)市場動向を考えるうえで、気になることは、世界市場が中国ばかりを見ている、という気がする点だ。

たとえば一時は中国経済を、昨年12月までの株価下落の「悪玉」にする主張が広がった。その中国経済が悪いから株価が下がったのだ、という論に立脚して、「中国は経済対策を大いに打ち出しているから、先行きの中国経済は大丈夫だ、したがって、唯一の悪材料である中国の景気動向が改善するのだから、これからは世界の株価は上がるばかりだ」という見通しもよく聞こえた。

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