「街」視点で考える湾岸タワマンに住む選択 東京の街での生活を楽しむなら下町がいい
生活するうえでは、高層部だと風が強くて窓が開けられない、洗濯物が干せない、高層建物であるために柱が巨大で間取りに制約が多い、壁などに軽い素材の建築資材を使うために意外と遮音性能に問題がある、かすかではありますが建物全体が揺れる、など、タワーマンションであるが故のデメリットもあるでしょう。
湾岸部ですから塩害も深刻です。外壁のシール材の劣化も激しく、一部のマンションでは窓枠のシール材が劣化して雨漏りが続出、といった事例も聞こえています。
いざ外壁や窓枠などが破損すれば、高層建物であるために修繕用の足場が組めず、ベランダがないものも多いため、ゴンドラを用いた、それなりの規模での作業がどうしても必要となります。ゴンドラ作業となれば、工期も通常の修繕に比べて長期にわたります。
修繕はもちろんですが、そもそも超高層の建物である以上、高層用エレベーターや非常用発電機などの管理費用も高くなります。いずれ必要となる大規模修繕は膨大な金額になることが想定されるのです。それを修繕積立金だけで本当に賄いきれるのか、という懸念はこれまでに多く指摘されています。
投資対象として価格上昇が期待できる
悪いことばかりを述べてしまいましたが、こうした状況を冷静に見てみれば、湾岸タワーマンション街を選び住む、ということはそれなりの覚悟がいるということになるでしょう。
もちろん投資家や富裕層が買うということは、それだけ物件が流通しやすいというメリットがあるともいえます。実需のみならず、投資対象として価格の上昇が期待できることもタワーマンションの強みです。
何と言っても、世界的にも評価の高い東京の夜景が自分のものになります。立地にもよりますが、地上では大混雑の花火大会も、タワーマンションなら景色を独り占めできます。高みに立てば城の天守閣のごとく、その街を支配したかのような優越感を覚えられるかもしれません。
したがって湾岸タワーマンションに家を買うのであれば、長期間持ち続けるのではなく、投資マネーの動向をよく観察して状況次第で売却する、といった融通さを利かせることがポイントになるのではないでしょうか。
またタワーマンションの場合、建物の価値を維持できる期間がそれほど長くは見込めません。早めに見切らないと維持コストに振り回された揚げ句、劣化が始まり、やがて投資としても実需としても求められなくなる、というリスクを含んでいることは頭に入れておきたいところです。
ただし「借りる」という選択であれば悪くはないと思います。平面としての「街」は充実していないし、昼間に洗濯物をベランダに干せないかもしれませんが、多忙を極めたビジネスマンならあまり関係ありません。都心から近いうえ、付設のジムやプールでの健康維持もできますから、彼らと湾岸タワーマンション街はきわめて相性がいい、と言えそうです。
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