10連休の「渋滞予測」が全く的中しなかった要因 予測よりも30㎞以上長く渋滞した事例も

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今年の高速道路の利用状況については、速報版はすでにNEXCO各社から発表されているが、より詳細な分析を待ちたいところである。そのうえで、事前に発表される渋滞情報をどのようにそしゃくして自分の行動予定に反映させるかは、ドライバー一人ひとりの経験則などによって変わってくるし、渋滞情報をどう読むかも一層問われる時代になっている。

また、別の課題として、高速道路の渋滞予想は原則として高速道路の路線ごとに出されるため、高速道路をまたがって利用する場合はその両方を勘案してスケジュールを立てる必要がある。

路線ごとに勘案しないと実態から離れがちに

関越道の予想を見ると高坂SA付近を先頭に35km程度の渋滞が最長と発表されたが、軽井沢方面から上信越道を利用し、関越道に合流しようとする利用者は、まず藤岡ジャンクションを先頭にした上信越道の15km程度の渋滞をクリアし、関越道に合流しても花園IC付近を先頭にした20km程度の渋滞が続き、ほんの数キロスムーズに走ったかと思うと、今度こそ高坂SAを先頭にした渋滞につながる。

5月3日の夕方、この3区間の渋滞を足し合わせると、ほぼ70km近くにわたって渋滞していたが、個別路線の渋滞情報だけでは実態に近いこの数字は出てこない。

同様に、新東名の上り線は東名と合流する御殿場ジャンクションの前の渋滞が東名にかけてつながって、発表される数字以上に渋滞が長くなっているし、また近年「ネモフィラ渋滞」と呼ばれる、国営ひたち海浜公園(ちょうど大型連休の頃、一面に色鮮やかなブルーのネモフィラが咲き、インスタ映え時代に一気に有名になった)から東水戸道路、北関東道、常磐道へと続く休日午後の上りの渋滞は、これも道路ごとに別々に渋滞情報が発表されるため、一つひとつは長くないように見えるが、実際には今回の大型連休でも連続して30kmを超す渋滞に見舞われていた。

来年からは、今回のような10連休にはならないし、2020年度には新東名の未開通区間である伊勢原から御殿場までのルートも開通する予定であるため、今年の状況は来年、あるいは再来年には当てはまらない。

今後も渋滞予想をある程度参考にしながら、自分の判断で渋滞をかわしていく必要があることを痛感させられた今年の大型連休であった。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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