あるカリスマ数学教師の「変態」を育てる授業 「どうせできない…」の壁を越えさせる名人技
黒板に三角錐と四角錐を描く。
「この2つの立体をくっつけたときに何面体ができるかという問題を出したときに、4面足す5面で、くっつくところで2面が引かれるから7面と答えて間違えたでしょ」
「あ〜ぁ」
「こういう問題は、頭がいいと逆に正解に気づけないんだよ。キミらの頭のよさが将来もしマイナスに働くことがあるとすれば、それは実際にやってみない場合なの。いま、みんな、『8でできる』って言ったろ。でもつくってみなきゃわからないから、実際につくってごらん」
1人1枚配付された画用紙を「1×8」の細長い長方形に切り取って、立方体をつくるための試行錯誤を始める。班の机はそのまま。作業は個人でそれぞれに進めるが、話し合いは自由。
それにしても細長い短冊状の長方形を折るだけで、どうやって立方体がつくれるというのか。そのためには、辺に沿って折るだけではなく、面の途中で折ることで、方向を変えなければいけないのだ。
次々にクリアする生徒が現れる。「8」でつくるのにはいくつか方法があり、楽勝のようだ。頭で考えているだけではどうやってつくればいいのか見当もつかなかったが、実際に手を動かしてみると、私でも意外と簡単にできた。
誰かができると、みんなもできるようになる
「8でできることはわかったよね。じゃあ、7でできるかな? あるいは、8が最少だと思うなら、それを証明してみて。『何回やっても7ではできないから8が最少』というのは論理的じゃないぞ」
「できた!」
ほぼ同時に2人が「7」で立方体をつくった。
「いま、2人できたぞ。だから8が最少であるとは言えなくなった」
「えーーー」
すると不思議なことが起こる。次々と7をクリアする生徒が現れるのだ。
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