消費増税前に慌てて不動産を買うと損をする 「税率10%適用後」のほうがかえっておトク?
次に、すまい給付金です。これは消費税8%の場合は目安年収510万円以下で最大30万円、消費税10%の場合は目安年収775万円以下で最大50万円支給されます。実際には年収以外に扶養家族による控除などを差し引き、住民税の所得割額で金額の判断がなされます。
すまい給付金の公式サイト では給付額の簡易シミュレーションができます。モデルケースの夫婦で試算をすると、消費税8%だと給付額は0円、消費税10%だと夫婦で合計30万円の給付が受けられる計算になります。
ここまでで、消費税10%で購入したほうが、むしろ30万円有利になる計算になります。
不動産価格自体が2%以上変動する可能性も考えておく
一方で、物件価格そのものが、消費税率分以上に変動する可能性もあります。
不動産経済研究所の首都圏マンション市場動向(新築マンションの価格推移)によると、今から約5年前の2014年3月は5215万円、2014年4月は4846万円でした。消費税率が5%から8%に切り替わったのは2014年4月ですから、消費税5%最後の月に比べて、消費税8%に切り替わった最初の月のほうが、約370万円(約7%)平均価格が安くなっていることになります。
不動産は個別性が高く、あらゆる物件が一緒に上がったり下がったりはしないため、一概に「増税前の駆け込みや、増税後の落ち込み」と判断することはできませんが、消費税率2%以上の価格の変動が通常に起こりうることの一例として見ることはできます。
確かに、エリアや広さが類する物件でも、購入時期に応じて価格が数百万円も変わることは、個別のケースを見ていてもいくらでも起こっています。中古の物件では、同じ建物内であっても、売り主の事情や考え方によって提示価格の強気さや値引き交渉の可否も変わり、ここでも数十万円から数百万円の価格差が起こることは日常茶飯事です(ちなみに、中古で売り主が個人の物件の場合、消費税はかからないことは覚えておきましょう)。
そう考えると、物件購入において、消費税率の影響はさほど大きなものではないと考えられます。
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