あのオーガスタで女子大会が開かれた深い意味 ゴルフの聖地で史上初アマ女子選手権を開催

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もちろん、この背景にはゴルフの置かれている厳しい状況がある。ゴルフの若者離れ、ゴルフ人口の減少などの課題解決のためには、ジュニア・女性へのアプローチが必要だと痛感しているからにほかならない。

この女子アマチュア大会のパンフレットに「Augusta National’s Newest Effort in its Mission to Grow the Game of Golf」 (ゴルフの成長のために、オーガスタ・ナショナルの最新の取り組み)の文章が載っているが、ゴルフが発展してこそ、マスターズの価値が高まることを認識していて、そのためにはあらゆる努力を惜しまない姿勢が読み取れる。

会員のライス氏とハグをしたのはロレーナ・オチョア(写真:UPI/アフロ)

「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア」の予選は別のコースで実施し、決勝1日だけ、オーガスタ・ナショナルGCで開催された。

今年の第1回大会では、選手のスタート前に女子ゴルフ界のレジエンドであるパク・セリ、アニカ・ソレンスタム、ナンシー・ロペス、ロレーナ・オチョアの4名が勢ぞろいして始球式を行った。

本番のマスターズでジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤーが行うことを女子の大会でも実施したのだ。その場面に、会員となったライス氏の姿もみえた。女子の大会がこの地で開催されることに感慨深いものがあるに違いない。

「オーガスタの女子アマ」は憧れの大会に

大会はアメリカのジェニファー・カップチョが優勝し、日本から唯一参加した18歳安田祐香選手が健闘して3位に入った。安田選手はこの大会に参加して、「今までになくMAX100%興奮し、この大会に参加したことは夢のようだと」話していた。これからアマチュア女子にとっては、男子と同様、憧れの大会になることは間違いない。

3位に入った18歳の安田祐香選手(写真:UPI/アフロ)

オーガスタが進めた改革は、ゴルフの裾野を広げ、ゴルフの価値を高めることは間違いないが、ゴルフに興味がない若い世代や、女性にどう響いていくのか、これからの大会の推移に注目である。

もちろん、マスターズの本戦の前に同じコースで大会を開くことは、コース管理上は厳しいことだが、大会の決勝日1日だけをオーガスタで実施し、予選をほかのコースでするという知恵を使った運営にも、ゴルフに対する柔軟さがみてとれる。日本のゴルフ界もさらなる改革に舵を切らなければならない。

今年のマスターズがタイガー・ウッズの劇的な優勝で幕を閉じたこととあわせて、「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権」はゴルフの歴史に残る大会となった。

(文中一部敬称略)

嶋崎 平人 ゴルフライター

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しまさき ひらと / Hirato Shimasaki

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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