「SPA!」の女子大生蔑視が時代錯誤すぎた理由 今や雑誌の読者は「紙を買う人」だけではない

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雑誌不況の厳しさも背景にあります(東洋経済オンライン編集部撮影)

『週刊SPA!』(扶桑社)が掲載した「ヤレる女子大学生RANKING」が物議を醸しています。

事の発端は、昨年12月25日号の「ヤレる『ギャラ飲み』実況中継」(「ギャラ飲み」は参加女性にお金を払う飲み会)という特集内に同ランキングが掲載されたことから。1月4日、これを見たある女子大学生が記事の取り下げと謝罪を求める署名活動をスタート。すぐに「女性差別だ」などの批判が殺到しました。

1月7日、批判を受けた同誌編集長が、「『より親密になれる』『親密になりやすい』と表記すべきだったが、読者に訴求したいがために扇情的な表現を行ってしまった」という釈明と謝罪のコメントを公表しました。

しかし、騒動は収まりません。ワイドショーにも採り上げられ、ランキングの作成者が「『ヤレる』ではなく『お持ち帰りできる』にすればよかった」などと話したことで、さらに批判の声は過熱。署名は増え続け、1月9日6時の時点で3万7000人を突破しました。名前を出された大学サイドのうち、フェリス女学院大学が抗議声明を表明するほか、直接的な抗議をした大学もあり、名誉毀損による損害賠償につながる可能性もあるでしょう。

ここでは「こんな記事はけしからん」と一刀両断して終わりではなく、「なぜここまで大きな騒動になったのか?」というビジネス上のリスクと、「なぜそういう記事が企画され、流通に至ったのか?」という雑誌メディアの現状を掘り下げていきます。

「ネタだから」では許されないものとは

まず「なぜここまで大きな騒動になったのか?」というビジネス上のリスクについて。

抗議の声を拾っていくと、その多くは「女性差別だ」「女性を何だと思っているのか!」などという性差別に関するものでした。ただ、それなら「ヤレる女子大学生RANKING」だけでなく、同特集内の「大流行のギャラ飲みアプリはヒキ次第で即ヤリも可能!」「(地下)アイドルのギャラ飲みは男女ともに欲望の塊だ」というコーナーも、大きな批判の対象になるでしょう。

「即ヤリ」「欲望の塊」と書かれたギャラ飲みアプリとアイドルは、女子大生や大学のように怒り、それを受けた第三者も批判の声を上げても不思議ではないのですが、現時点ではそこに至っていません。

次ページ性差別はもちろんNGだが、それ以上にマズかったのは?
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