「SPA!」の女子大生蔑視が時代錯誤すぎた理由 今や雑誌の読者は「紙を買う人」だけではない

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そもそも「ヤレる『ギャラ飲み』実況中継」という特集は、「ヤレる女子大学生RANKING」というコーナーがなくても十分成立するものでした。わざわざ根拠と配慮に欠ける要素を追加してしまったのは、「これくらいなら、これまで通り大丈夫だろう」という鈍感さにほかならないのです。

もう1つ触れておきたいのは、雑誌と人々の距離感。数年前まで大半の雑誌は、ターゲット層以外の目に触れることは、それほどありませんでした。『週刊SPA!』もしかりで、今回以上に扇情的な特集が多々あったにもかかわらず、ほとんど問題にならなかったのです。

しかし、「dマガジン」「楽天マガジン」「フジテレビオンデマンド」など、ウェブの雑誌読み放題サービスが普及して状況が一変。あらゆる層の目に触れるようになったほか、一部をピックアップしてSNSで拡散されるようになりました。多くの署名がアッという間に集まったことを踏まえても、今回の騒動は「距離感の変化に合わせて特集の内容を変えられなかった」ことが一因と言えるでしょう。

このコラムを書いているとき、突然「dマガジン」で『週刊SPA!』12月25日号が閲覧できなくなりました。ダメージコントロールとしては弱い感が否めないものの、危機感が増している様子がうかがえます。

いずれにしても各誌の編集部は、紙と電子の両方に適応した特集をどう作っていくのか? 歴史の長い雑誌ほど「さほど変わらない」という認識の甘さが見られるだけに、今回のような騒動は今後もありうるでしょう。

新時代の女子大生と前時代的なメディア

女子大生の勇気ある行動がムーブメントを生み、社会や出版社を動かしました。「女子大生が自らの立場を守る声を上げた」というポジティブな意味で、時代の変化を感じます。

一方、雑誌に限らず、「女子大生を性的対象としてフィーチャーすれば喜ばれる」という前時代的な考えから抜け出せないメディアは、いまだ少なくありません。「慢性的に金が足りない」「楽して食べ飲みしたい」などの理由でギャラ飲みをする女子大生が実在するのも事実ですが、「メディアがそれをあおれば叩かれる」という時代になったことは間違いないでしょう。

雑誌、ウェブ、テレビ、タブロイドなど、性的なコンテンツを扱うすべてのメディアにとっては決して他人事ではなく、時代にアジャストする方法を模索していかなければいけません。同時に、ビジネスパーソンにも、受け取り側としてのモラルやメディアリテラシーが必要なのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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