アリババが資生堂と世界初タッグを組んだわけ 「アリババ経済圏」入りで中国市場攻略の成算

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アリババは資生堂の既存ブランドの製品の改良にとどまらず、まったく新しいブランドの立ち上げも示唆する。

資生堂にも、新商品投入サイクルが短縮化できるというメリットがある。両社は共同開発にあたり、アリババのビッグデータをフル活用する。従来、資生堂中国では日本の本社と話し合いながら、1年単位で新商品を開発していた。社員が消費者に直接ヒアリングを行うなど手間のかかる市場調査が主流で、商品開発に時間を要していた。 

アリババ本社付近にある資生堂戦略連携オフィス(写真:アリババ)

新設の戦略連携オフィスでは、アリババの天猫新商品開発センターと連携してビッグデータをもとに市場動向を素早くつかむ。その結果、「商品の開発から販売までの期間を通常より数カ月も短縮できる」と、Tモールのビューティ部門責任者・陳曦氏は語る。

電子決済やチャットアプリで連携も

提携のメリットは他にもある。アリババでは近年、「淘宝心選」といったプライベートブランドの展開を推し進めている。資生堂との取り組みで得た知見を生かし、そのノウハウを自社商品の開発にも役立てていく。

さらに今回の提携では、 eコマース以外の分野での連携も視野に入れている。アリババはeコマースのほか、電子決済の「支付宝(アリペイ)」やチャットアプリの「DingTalk」などさまざまな事業を手がけている。「たとえば『DingTalk』を通して資生堂の会員からの問い合わせに答えるなど、今後いろいろな可能性が出てくるだろう」と、陳曦氏は期待を込める。

次ページ目標は中国eコマース比率を4割に引き上げ
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