就職人気ランキング《10年入社就活前半版》--解説編
不況時に強いといわれる食品メーカーだが、大きなランクアップは見られず、業界トップ10で順位を上げたのは4社にとどまった。そんな中目立ったのが、明治製菓(昨年66位→30位)。学生からは「菓子だけでなく医薬品も手掛けており、ブランド力もあって安定していそう」と評価が高い。お菓子という身近さと事業の幅広さが、学生の関心を集めたようだ。また、4月に経営統合する明治乳業もランクアップしている(昨年233位→213位)。
化学・医療・化粧品はやや低調な結果となった。資生堂が昨年3位から7位に後退。花王も大きく順位を下げ(昨年21位→45位)、業界自体の人気低迷を印象付けたが、じわりと順位を上げたのが富士フイルム。この3年でジワジワ順位を上げている(一昨年119位→昨年95位→87位)。化粧品のCMなどで、新たな事業展開が印象づけられたことも影響しているのだろう。
商社のトップは、伊藤忠商事(17位)。入社4年以内に総合職全員を一定期間海外に派遣する「新人海外派遣制度」などが学生の間で定着し、評価されているようだ。三井物産(25位)は定番となった「マイクを使わないキャリアガイダンス」、三菱商事(28位)は新たに「採用担当者全国縦断イベント」の実施など、積極的なセミナー活動を行っているが、女子学生の支持を今年も集め切れなかった(女子順位/伊藤忠商事29位、三井物産42位、三菱商事47位)。
IT業界は、文系・理系のランキングに大きな違いがあるのが特徴。理系のトップ3はNTTデータ、NECソフト、マイクロソフト。これが文系となると、トランスコスモス、CSKホールディングス、サイバーエージェントという結果に。業界内で最も順位を上げたのは楽天(昨年215位→160位)で、「内定者の推薦を受けた学生はエントリーシート免除」という説明会を実施するなど、一味違う選考を展開している。
ゲーム世代が就活世代となったことで、ゲーム業界が軒並みランクアップしている。業界トップ10中、総合順位を上げた企業は8社。最も元気な業界といえるだろう。業界1位はバンダイ(12位)。5位にもグループ会社のバンダイナムコゲームス(89位)が入った。ゲーム機「Wii」「DS」が人気の任天堂もランクアップ(昨年58位→43位)。身近なアイテムだけに、商品のヒットがランキングに与える影響は大きい。
例年人気の高い旅行業界だが、業界トップのJTBグループが昨年2位から6位へと順位を下げた。HIS(昨年43位→37位)、近畿日本ツーリスト(昨年86位→70位)はランクアップしていることから、業界全体の動向は判断しづらいものの、景気の影響を受けやすい業界だけに、業績次第では、後半戦のランキングは厳しい結果になるかもしれない。
ほか、今年大きく順位を上げた企業として、日本貿易振興機構(ジェトロ・昨年287→147位)や、ヒット商品を連発し、業績好調なアップルジャパン(昨年325位→179位)、ユニクロ(昨年406位→207位)などがある。
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