甲子園優勝監督のシンプルでしつこい指導法 前橋育英・荒井直樹監督のリーダーシップ(上)

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楠の姿を最高の教材とするべく、荒井は1、2年生にこう伝えている。

「『楠はBチームでも結果を残せないときもあったんだぞ。あいつの姿を見てきたよな』と話しています。そうすると、努力するヤツはするし、感じるものがないヤツはやらない。それは個人の感覚なので、仕方がない。ただ、そういう話をするようにしている。こっちが何もしなくて、選手に感じろというのは無理な話なので」

前橋育英では体育の授業の一貫として、水曜と金曜の5、6時間目に所属の部活が行われている。すでに部から引退した3年生も、12月までは参加する。例年は練習がうまくいかなかったものの、今年は様子が変わった。

「いつもは夏が終わると、人相まで変わっちゃうような子もいる。でも今年はウォーミングアップ、ノックと一緒に参加してくれるし、目がまったく変わっていない。それがすごくうれしくて。3年生に『後輩たちの面倒を見てくれよ』と言うと、いろいろ教えてくれる。普通、下級生は3年生が練習に来るのは嫌でしょ? でも今年は3年生が来たほうが、雰囲気がいいくらい。今になって、『こういう子たちだから勝てたのか』と感じている」

初めて出場した夏の甲子園で、初優勝という快挙を達成した前橋育英。観る者をワクワクさせたシンデレラストーリーの背景には、好環境を演出した荒井の存在があった。

中島 大輔 スポーツライター

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なかじま だいすけ / Daisuke Nakajima

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。2005年夏、セルティックに移籍した中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた「野球消滅」。「中南米野球はなぜ強いのか」(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。NewsPicksのスポーツ記事を担当。文春野球で西武の監督代行を務める。

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