甲子園優勝監督のシンプルでしつこい指導法

前橋育英・荒井直樹監督のリーダーシップ(上)

楠の姿を最高の教材とするべく、荒井は1、2年生にこう伝えている。

「『楠はBチームでも結果を残せないときもあったんだぞ。あいつの姿を見てきたよな』と話しています。そうすると、努力するヤツはするし、感じるものがないヤツはやらない。それは個人の感覚なので、仕方がない。ただ、そういう話をするようにしている。こっちが何もしなくて、選手に感じろというのは無理な話なので」

前橋育英では体育の授業の一貫として、水曜と金曜の5、6時間目に所属の部活が行われている。すでに部から引退した3年生も、12月までは参加する。例年は練習がうまくいかなかったものの、今年は様子が変わった。

「いつもは夏が終わると、人相まで変わっちゃうような子もいる。でも今年はウォーミングアップ、ノックと一緒に参加してくれるし、目がまったく変わっていない。それがすごくうれしくて。3年生に『後輩たちの面倒を見てくれよ』と言うと、いろいろ教えてくれる。普通、下級生は3年生が練習に来るのは嫌でしょ? でも今年は3年生が来たほうが、雰囲気がいいくらい。今になって、『こういう子たちだから勝てたのか』と感じている」

初めて出場した夏の甲子園で、初優勝という快挙を達成した前橋育英。観る者をワクワクさせたシンデレラストーリーの背景には、好環境を演出した荒井の存在があった。

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