では頭脳のOSのアップデート方法についてお話ししましょう。方法はいくつかあるのですが、その中でも家庭でできる1つの方法をお伝えします。
マジックワード(魔法の言葉)で声かけする
それは、日常生活の中での「子どもとの対話」で行っていきます。そこで使用する言葉のことを筆者は「マジックワード(魔法の言葉)」と呼んでいます。詳しい言葉の意味はこれまで、複数の著書に書きましたが、代表的な7つのワードを挙げると次のような言葉になります。
「どうしたらいい?」(問題解決)
「要するにどういうこと?」(抽象化思考)
「例えばどういうこと?」(具体化思考)
「何のためだろうね?」(目的意識)
「そもそもそれってどういうこと?」(原点回帰)
「もし〜だったらどうなるだろうね?」(仮説構築)
このような言葉をかけられると人は「考え出す」のです。今回は、2つの事例について説明しておきます。
【例1】なぜだろう?
この言葉は理由を聞く言葉です。通常、学校教育では「これは何?」「どこ?」「いつ?」「誰?」「(選択肢問題で)どっち?」が基本となっています。これらのワードも大切でしょうが、残念ながら考える力は身に付きません。これらは知識のインプットであり、考えるとは言わないのです。
ところが、「なぜだろうね?」と言われると意識がそこに向かい、考えるようになります。しかし、この問いは、答えがなくていいのです。子どもが「ん〜、わからない」と言ってもいいのです。「ん〜」の部分で考えているからです。何を答えるかという結果ではなく、プロセスが重要なのです。
【例2】要するにどういうこと?
この言葉で問うと、人は考えをまとめていきます。これを抽象化するといいます。抽象化できると、例えば算数の問題集をやっていても、「この問題とこの問題は形は違っているけど同じタイプ」ということがわかったり、国語でも、「この文とこの文は字面は違うけど同じこと言っている」ということがわかるようになります。具体的な部分しか見えないと、すべてがバラバラに異なって見えます。このまとめあげること、すなわち抽象化させることも考える力の1つです。
以上のようなマジックワードで声かけすることで、その質問の方向に意識が向かいます。すると頭の中で「考える」ことが始まります。
シンプルだけどとても効果的な、こうした言葉を使っている家庭は実はそう多くはありません。日常、親からの指示・命令によって動いている子が少なくなく、それではいつまでたっても考えるようにはなりませんし、OSのバージョンが上がることは難しいのではないでしょうか。
ちなみに、OSのスペックの高い子は、これらのワードを自分で使って自分を高めています。国語の問題でも数学の問題でも。勉強以外でも、何かに取り組んでいるときに自問自答している子が多いのです。
「何を問うか?」
これによって子どものOSが変わっていきます。すると「考えることの面白さ」がわかってきます。そうなれば、もはや親はただ見守っているだけでいいでしょう。
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