東野幸治「毒舌でも仕事絶えない」卓越した視点 あの西野亮廣をほめ殺しにした「白い悪魔」

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注意深く見ているとわかることですが、東野さんは西野さんの本を読み込んでいるし、その活動理念についてもよく理解しています。すべてを知ったうえで、あえて西野さんを追い詰めて新鮮なリアクションを引き出そうとしているのです。これが東野さんが最も得意とするスタイルです。

東野さんは他人をいたずらに傷つけているわけではありません。それは他人への興味の裏返しなのです。東野さんのブログをまとめた著書『この間。』(ワニブックス)でも、『週刊新潮』で連載している「この素晴らしき世界」でも、書かれているのはほかの芸人のエピソードばかりです。東野さんは、芸人仲間の話を聞いたり、噂話を集めたりすること自体を楽しんでいます。東野さんが無類のゴシップ好きだと言われるのもそのためでしょう。

自分自身が商品である芸能人という人種には、どちらかというと自分のことが大好きな自己陶酔タイプが多いと思うのですが、東野さんはそういうタイプではなく、自分よりも他人に人一倍関心があるように見えます。

悪口を言っても嫌われない理由

ただ、それは決して「人間が好き」ということではありません。東野さんはよくも悪くも誰にも肩入れをすることがありません。おそらく、他人に対して好き嫌いという感情がないのだと思います。だから、他人の嫌なところが目についたとしても、それが原因でその人を嫌いになるということがなく、それをありのままに受け取って面白がることができるのです。

つねに冷めているからこそ、フラットな立場で物事を冷静に見られる。それが東野さんの芸人としての面白さでもあり、あの独特の不気味さや人間味のなさにもつながっています。

東野さんには嫉妬心や反骨心のような人間らしい感情がありません。だから、他人の悪口のようなことを言っているときでも、本当の意味で嫌な印象を与えることがないのです。東野さんの悪口がなぜか後味がいいのはそのためです。

だからこそ、実は東野さんは世間でもあまり嫌われてはいません。雑誌の「嫌いな芸人ランキング」でも、東野さんの名前が上位にあがることはほとんどありません。嬉々とした表情で共演者をイジり倒す姿はまさに「白い悪魔」そのものという感じですが、それでも東野さんは視聴者にそれほど悪い印象を与えていません。だから嫌われていないし、仕事のオファーが絶えないのだと思います。

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