速い・混まない・本数多い「勝ち組」通勤電車は? 東京圏を走る主要32路線をデータで徹底分析

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2) 輸送力

運行本数が多くても、その列車が何両編成かによって運べる乗客の数は変わってくる。例えば、運行本数3位の丸ノ内線、4位の銀座線はわずか6両編成なので、輸送力ランキングはそれぞれ26位、30位と下位に甘んじる。

輸送力1位は小田急小田原線で1時間当たり4万9416人。2位は東武伊勢崎線で4万5314人、3位は中央線快速で4万4400人である。

これらの列車は運行本数でもそれぞれ2位、1位、4位で、運行本数の多さが輸送力の大きさにつながっているといえる。

輸送力が最も少ないのは京成本線で1万5246人。1995年度の輸送力は1万8796人だったので、そこから2割近く減少した。

速さはJRが優位

3) 運行速度

朝ラッシュ時間帯における郊外の主要駅から都心の拠点駅(西武池袋線は小手指―池袋間、東急東横線は横浜―渋谷間など)までの最速達列車の到達時分を基に編集部で算出した。これは表定速度と呼ばれている。到達時分は今年2月時点の時刻表に基づき、2016年に国交省がまとめた資料(「速達性の向上の現状と今後の取組のあり方について」)に記載の表定速度と同じ区間で算出した。

1位は東海道線で時速68.2km。また、2位は常磐線快速の時速60.2km、3位が横須賀線の時速56.8kmと、1~3位をJR勢が占めた。これらの路線はとくに郊外において駅間が長く、スピードが出しやすいという側面はあるだろう。

一方で、これらの列車の運行本数は決して多くない。理屈のうえでは列車のスピードが速ければその分だけたくさんの列車を走らせられそうなものだが、安全面を考慮するとそうもいかないということか。

4位の東武伊勢崎線・時速54.6km、8位の小田急小田原線・時速49.9kmはどちらも複々線でありダイヤに余裕がある。そのため、表定速度の速さと運行本数増を同時に実現している。

運行速度のワースト1位は東京メトロ日比谷線の時速24.9km。地下鉄は駅間が短く、表定速度が遅くなりがち。ワースト10に8路線が入っている。

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