速い・混まない・本数多い「勝ち組」通勤電車は? 東京圏を走る主要32路線をデータで徹底分析

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4) 混雑率

これまでに挙げた3つの指標は少しでもたくさんの乗客を運ぶための、鉄道会社の経営努力である。輸送力を高めた結果、混雑率はどのようになっただろうか。

2017年度の最混雑区間における混雑率を低い順に並べると、1位中央線各駅停車97%、2位京成本線127%、3位都営浅草線129%、4位東武東上線137%、5位京成押上線143%という結果になった。混雑率と輸送力の相関関係はさほどなさそうだ。

一方で混雑率ワースト1位は東京メトロ東西線199%、同2位総武線各駅停車197%、同3位横須賀線196%、同4位東海道線187%、同5位東急田園都市線185%、同6位中央線快速184%という結果になった。東急田園都市線と中央線快速は輸送力の高さでは上位に位置する。それでもこれだけ混雑しているということは、鉄道会社の経営努力を上回る利用者増が続いているということだ。

国土交通省は東京圏における個別路線の混雑率を180%以下にすることを目指す。混雑率180%とは、国交省の定義によれば「折りたためば新聞を何とか読める程度の混雑」だという。だが、混雑ピーク時の田園都市線や東海道線は新聞・雑誌どころか、スマホを扱うことすら難しい。体感的には「体が斜めになって身動きができず、手も動かせない」とされる混雑率250%に近いのではないか。

山手線の混雑は大幅改善

5) 混雑率改善度

2017年度と2007年度の最混雑区間における混雑率を比較した。最も改善したのは山手線で、2007年の205%から2017年度は153%へ減少。52ポイントの改善となった。

山手線が最も混雑するのは外回りの上野―御徒町間。東京・品川方面に向かう常磐線などの利用者が上野で山手線に乗り換えるためだったが、2015年に上野東京ラインが開業したことで上野から山手線に乗り込む客が大きく減ったことが混雑率改善の理由だ。

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