廃止された鉄道の「復活」はどうすれば可能か 再開させるための法律は今のところないが…
鉄道は地図に路線が掲載されるだけでなく、定時運行が可能であり、かつ乗り心地などがバスよりも優れているなど利点は大きい。地域のシンボルという認識もあり、沿線の自治体は廃止に対して反対運動を展開してきた。
さらに昨今では、少子化や人口が右肩下がりの減少期に突入したため、路線バスの運転手を確保することが困難になっている。この現象は、地方の中小のバス事業者だけでなく、大手でも見られるようになりつつあり、バス事業者にとって利益率の高い高速バス事業であっても、運転手が集まらず、減便や休止をせざるをえない状況に追い込まれている。
この現象は、地方の中小のバス事業者ではより顕著であり、過疎化の進展も加わる。従来バス事業者は、国や県、沿線自治体などから欠損補助を受け、何とか経営を維持していた。長時間労働を強いられる割には、給料も高くないため、運転手を募集しても集まらないか、来てくれたとしても、定着せずに離職してしまう。
代替交通は維持できるのか
夕張支線のバス転換も「採算性」の前にバスの運転手が確保できるのか、という問題が横たわる。筆者が地元でバスの運転手などにヒアリングしたところ、この地域の運転手の平均年収は約380万円で、30~40代の若手は来てもらえず、50代であってもすぐに離職するという。当初に計画された本数で運行を開始したとしても、バスの運転手の離職に伴う減便や、やがては運転手が確保できずに休止や廃止に追い込まれる危険性がある。
また、夕張のような積雪地帯の過疎地においては、バス事業者がバス停を維持・管理するのも困難だ。除雪できない状態で放置されているため、どこにバス停があるのか、見つけるだけでも大変な状態のバス停もある。
「バスがダメであればデマンド型の公共交通へ置き換えればいいではないか」という指摘もあるが、こういった交通機関の運行を担うタクシー運転手の確保も難しい。夕張市ではタクシー会社に電話しても相当待たなければタクシーは来てくれない。タクシー運転手の年収はバスの運転手よりも低く、募集しても人がなかなか集まらない。
このような状況で鉄道がバスに置き換わると、代替交通の運行も困難となり、公共交通空白地域になってしまう恐れもある。
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