「観光の目玉」SLを手放す真岡鉄道の葛藤

2台体制に終止符、「地域の誇り」もコスト重荷

真岡鉄道の本社が入る真岡駅。1997年に蒸気機関車の形にリニューアルされ、「関東の駅百選」にも選ばれている(筆者撮影)

茨城県の下館駅から真岡や益子を経て栃木県の茂木駅までを結ぶ第三セクター鉄道の真岡鉄道真岡線。その代名詞といえばSL、蒸気機関車である。

1994年にC12形蒸気機関車を用いた「SLもおか」の運転を開始。1998年からはC11形蒸気機関車も加わり、2台体制で通年のSL運行を実現してきた。1997年には真岡駅の駅舎が蒸気機関車の形にリニューアルされ、2013年にはD51形や9600形などの蒸気機関車が展示されている「SLキューロク館」もオープン。まさに“真岡=SL”として広く知られる存在となった。

SL1台を手放すことに

ところが、そんな真岡鉄道から代名詞たるSLが1台姿を消そうとしている。昨年秋、C11形の運行の取りやめを決め、譲渡先を探していることが明らかになったのだ。C12形の1台体制となれば、車両検査・保守の都合もあって今までのような通年運行は難しくなる。いったいなぜ、“代名詞”を手放すことになったのか。

「最大の理由は維持にかかるコストです。6年に1度行う全般検査には約1億4500万円かかる。沿線の自治体で負担してきたのですが鉄道施設の老朽化対策も必要で、続けていくには限度がある」(真岡線SL運行協議会のある芳賀地区広域行政事務組合・小林裕司総務課長)。

「SLもおか」の運行には、1回あたり少なくとも9万円の経費がかかるという。転車台や下館駅まで牽引するディーゼル機関車なども考慮すれば、計算上は満席になってもほとんど利益は出ない。これまでは、2台体制を生かしてSLを他社に貸し出して維持・ランニングコストの一部に充てていたというが、それも近年めっきり少なくなった。

「これまでJR左沢線や只見線、飯山線などにC11形を貸し出してきました。毎年だいたい春と秋の2度他社さんの線路を走ってきた。ですが、今年度の貸し出しはゼロ。東武さんもSL大樹の運転を始めましたし、ライバルが増えて『SLもおか』の乗客数は減ってきています」(真岡鉄道の竹村髙取締役事業部長)

実際に「SLもおか」の乗客数は、2台体制になった直後の1999年度の年間4万9000人に対して2017年度は3万2000人。さらに日常的な真岡線の役割である地域輸送も厳しい環境におかれている。

次ページ真岡線の乗客数は30年でほぼ半減
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