格之進「燻製ハンバーグ」が目指す新しい価値

冷凍して燻製することで「薫り」を引き出す

プロジェクトの枠組みは、『オンワード・マルシェ Makuake プロジェクト』と題し、オンワードが運営するグルメ通販サイト「オンワード・マルシェ」で展開している生産者の新しいアイデアを商品化し、生産者の新たな商品開発を支援するというもの。

年間4社程度の生産者を支援するとともに、好評な商品については、オンワード・マルシェで取り扱っていくとする。これまでに第1弾として、2018年12月に純米吟醸酒『30年熟成酒 平成VINTAGE』の支援を行い、支援額が目標額の700%を突破するなど、多くの人の共感を呼んだ。

「冷燻技術」の開発に10年

第2弾となる今回は、門崎が開発した肉の「冷燻技術」を支援するプロジェクトとなっている。冷燻技術とは、肉を冷凍した状態で燻製することで、肉本来のうま味や薫りを引き出すというもので、千葉氏は10年前からこの技術の開発に取り組んできた。現在、特許出願中とのこと。千葉氏によると、冷凍のほうが生で燻製するよりもさらに効果が高いということは、偶然に発見されたという。

食肉や生産者の現状について語る門崎の千葉祐士社長。現在、食肉の価値は協会によってつけられているが、新たな調理法やブランディングにより、消費者の目線による価値基準を取り入れようとしている(筆者撮影)

「生と冷凍と、両方でやってみたところ、何度やっても冷凍状態での燻製のほうが匂いが強く、数値を測っても3倍以上薫りがあるという結果が出た」(千葉氏)

一般的に肉の調理の理屈では、肉を加熱したときにタンパク質が変化して、弾力性やうま味、香味成分など、肉のおいしさが引き出される。また肉には部位ごとにさまざまな異なる種類のタンパク質が含まれており、それらの種類によって、おいしさを引き出すための最適温度も異なる。

従来の、煙でいぶす燻製では、燻製をする際に熱でタンパク質の変化が終わってしまい、改めて調理したときに肉本来のうま味や薫りが引き出されなくなる。しかし、高電圧電源と燻煙のイオン化現象を利用した冷燻技術では、肉を加熱せずに燻製するため、燻製の薫りだけがつき、肉のタンパク質が変化しない。

燻煙のイオン化現象を利用し、加熱することなく燻製する冷燻の装置。スモークチップには岩手県産のナラ、クルミ、ブナを使用(写真:門崎)

よって、加熱調理をする際にうま味や薫りが引き出され、燻製の薫りと混じり合うことで、これまでにない薫り、味わいとなって立ち上がってくる。これが、千葉氏の唱える冷燻技術の理屈だ。

さらに千葉氏は言う。

「肉は部位によって成分が違うので、調理したときの薫りも異なる。冷燻によって、さらにそれぞれのおいしさが引き出されやすくなる。一般的に、食事の旨さとは“見た目50%、薫り40%、味7%”と言われる。この技術では、40%を占める薫りをコントロールすることができる」(千葉氏)

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