セブン「ドタバタ社長交代」に透ける王者の焦り コンビニオーナーは「新社長には期待せず」

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たとえば、2018年2月に福井県が豪雪に見舞われた際に、本部側が営業時間の短縮を認めなかった。アルバイトなどが出勤できない状況で、加盟店のオーナーが不眠不休で対応せざるをえなかった。井阪社長はこの事実を社内からあがってきた情報で知ったのではなく、報道を受けて知ったという。

こういった加盟店の意見や情報が本部に届きながら、トップまであがらないことに対し、セブン‐イレブンの新社長に就く永松氏は「過去の延長線ではなく、新しい発想で経営を推進したい」と、変革への強い決意を述べた。

1カ月で昇格のドタバタ社長人事

それにしても今回の人事はドタバタだった。永松氏は今年3月1日付けで人事本部管掌の取締役から副社長に昇格。店舗開発と既存店運営の両方を管掌する営業本部長に就任した。そのわずか3日後に、営業本部長と、既存店運営を統括するオペレーション本部長を兼務する3月18日付けの人事が公表された。そして、それから1カ月で社長昇格の人事である。

セブン&アイの井阪社長は永松氏を選んだ理由について、「事業構造改革のみならず、人事や労務管理、教育に精通している。今の加盟店オーナーの悩みに応えられるとともに、現場の声を適切に吸い上げられる最適な資質を有している」と語った。

セブン‐イレブンの新社長に就く永松氏は「新しい発想で経営を推進したい」と述べた(撮影:風間仁一郎)

永松氏はこれまで、加盟店の経営指導や人事を担当。また、セブン&アイグループの通販大手・ニッセンホールディングスの副社長として同社の再建に携わった経験を持つ。幅広い分野での豊富な経験を活かし、加盟店との連携強化に乗り出す。まず、今年から全役員が全地区を訪問し加盟店と直接話し合い、経営課題を共有する。

加盟店の一部から不満の声があがっている24時間営業問題に対しても、一部見直す可能性を示唆する。「今後は、立地や商圏など1店舗1店舗の状況を見極めたうえで、柔軟に対応していく」(井阪社長)。

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