2014年の世界経済は成長加速へ 1月2日の12月米ISM製造業指数に注目

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12月29日、今週のグローバル経済は、12月の米ISM製造業景況指数や各国・地域の購買担当者景気指数(PMI)、12月の米消費者信頼感指数が注目を集めそうだ。写真はニューヨーク市のビル群。9月撮影(2013年 ロイター/Gary Hershorn)

[ロンドン 29日 ロイター] -今週のグローバル経済は、12月の米ISM製造業景況指数や各国・地域の購買担当者景気指数(PMI)、12月の米消費者信頼感指数が注目を集めそうだ。

1月2日にマークイット/HSBCの中国の12月製造業PMI改定値、ユーロ圏の12月製造業PMI改定値、12月の米ISM製造業景況指数が相次いで発表される。世界の製造業の新年に向けた動きについて具体的なデータが提供されるが、とりわけ注目度が高いのは米ISM指数だ。

足元で金融市場のムードが上向いているのは米国の見通し改善によるところが大きい。米国は政治面での手詰まり状況が解消し、2014年は成長加速の軌道に乗る公算が大きい。

31日発表の12月の米消費者信頼感指数は消費の堅調ぶりを示すとエコノミストはみている。

ノムラのチーフ米国エコノミストのルイス・アレクサンダー氏は「かなりの逆風がいくらか残っており、中でも在庫投資ペースの鈍化は避けられない。しかし経済がこの数カ月に力強さをみせたことでエコノミストの間では、米経済に待望の循環的な成長加速が起こりつつあり、資産市場はこの新たな展開に適応していきそうだとの自信が膨らんでいる」と述べた。

一方、来年の世界経済は、改善の足取りこそ小幅ではあるものの、3年連続の成長減速と決別するだろう。

暮れに株式市場が上昇し、主要国の最近の指標が明るさを増していることから、投資家やアナリストの間では来年に向けて自信が高まっている。

先に米連邦準備理事会(FRB)は経済がこのところ強めのシグナルを発していることに基づいて量的金融緩和の縮小開始を決め、こうした楽観論の広まりを具体的な形で示した。

国際通貨基金(IMF)は10月、来年の世界の成長率が今年の2.9%程度から3.6%程度に加速するとの見通しを発表した。

ただ、市場の熱気やアナリストの相次ぐ楽観的なリポートの裏には、世界経済の悩みである大きな構造的問題や不均衡がなお存在している。

欧州では英国とドイツの2カ国こそ好調だが、徐々に成長を開始した主要国の多くは、本調子から程遠い銀行や低迷する内需に足を引っ張られ続けるだろう。

過去数カ月のロイター調査によると、中国にとっては来年も難しい年になりそうだ。政府は投資や輸出に依存した経済を内需主導型に転換しようとしており、成長の鈍化を受け入れると繰り返し表明している。

欧州、中国、米国は世界の生産の3分の2を占めており、ほとんどのエコノミストは世界経済は鈍い成長が続くと見込んでいる。

クレディ・アグリコル・CIBのグローバル市場調査部門ヘッドのHerveGoulletquer氏は来年の世界経済について「この3地域・国のいずれも成長は勢いが増すことがないか小幅にとどまるだろう。自立的な景気加速の循環メカニズムという考え方の肩を持つのは非常に難しい」と指摘。先進工業国では人口動態、債務、技術ショックがその背景にあるが、実質金利が高過ぎるように見えるのに引き下げることは難しいのも原因だと指摘した。

アクション・エコノミクスの欧州経済ディレクターのナターシャ・ゲウォルティグ氏は欧州経済について「全般的に見て安定化の兆しがいくらか出てきたが、成長見通しに対するリスクは依然として下向きだ」と分析。「金融危機によって構造的に大きく異なる国々で通貨を統合する困難が露呈し、欧州中央銀行(ECB)は画一的な金融政策をすべてのユーロ導入国に適用することに四苦八苦している」とした。

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