日産が初めて自社開発した軽「デイズ」の実力 開発責任者の齊藤雄之氏に独占インタビュー
――そのエンジンですが、ゼロからの開発なのでしょうか。
初代デイズでは、三菱製の3B20型エンジンを使っていました。 一方、(日産の新興国向けブランドの)ダットサンでインド市場向けに排気量800㏄のエンジンがあり、これをベースに今回は開発しました。インド市場の場合、排気性能など顧客の要望は日本のように厳しくありません。排気や燃費で軽対応に検討しました。
さらに、(上位グレードに)スマートシンプルハイブリッドも搭載しています。回生ブレーキで発生したエネルギーをリチウムイオン二次電池に貯め、必要に応じてモーターがエンジンの駆動をアシストします。
また、(日産の関係企業である)ジャトコに新設計の(無段変速機)CVT-Sの開発を依頼しました。変速比を軽向けに最適化する上で、(変速比を決める)プーリーを小型化して(CVT全体をも)小型化しました。(2つのプーリーを結ぶ)ベルトでもフリクション(抵抗)を軽減した設計として、低燃費と音の低減をしています。また旧型で使用していた副変速機も不要としたことで、CVT全体の小型軽量化を実現しました。
こうした(クルマとしての)基本性能を上げたことで、プロパイロットなど先進技術がさらに活きてきます。
軽はバリューがとても大事
―― そうした技術開発を進める上で、コストをどう捉えましたか。近年、ホンダN-BOXを筆頭に高付加価値で売値も高い軽の需要が高まっています。
軽ではお客様にとってのバリュー(価値)がとても大事だと感じています。だから、N-BOXは価格が高くても売れている。(そうした市場状況を十分に理解した上で、第2世代デイズでは)、仕様や装備として、他社と比較して各領域で勝つためにどうすべきか、1点ずつ検討しました。例えば、プロパイロットを全車・全グレードで標準装備しましたが、そのためにはステアリングに(コストの高い)ブラシレスモーターを採用する必要がありました。
――次に開発に関する組織についてお聞きします。公表されている資料では、NMKVは60~70人程度と小規模な所帯だと思います。端的に、日産と三菱の共同開発でもよさそうな気もします。
(NMKVが)あったほうが(開発が)やりやすいと思います。新車開発の初期段階では、まず(その時点での)現行車について詳しく調べます。その際、開発方法やサプライヤー(への委託業務内容)など、別の自動車メーカーと話を進めるのは難しいです。NMKVには三菱側から役員が入っているなど(日産側と高いレベルでの)情報交換ができています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら