日産が初めて自社開発した軽「デイズ」の実力 開発責任者の齊藤雄之氏に独占インタビュー

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EVなどの日産インテリジェントモビリティのイメージを踏襲。日産本社ショールームにて(筆者撮影)

――製造面では三菱側との関係はどうでしょう。第二世代デイズも初代デイズと同じく三菱の水島製作所(岡山県)で製造しますが、ここでもNMKVの役割は大きいですか。

製造の作業をするための要件として、(日産の工場ではできるが、水島では)できる、できないということがあります。それを我々は、生産要件と呼びますが、NMKVを経由して三菱側と密な連携が可能となっています。

開発の初期段階では、厚木(の日産テクニカルセンター)でコンピューター上での議論を行いました。(生産の準備段階あたりから)ほぼ毎月のように、(私自身が)水島に通っています。(日産、三菱、NMKVの三社では)、のべ数千人単位で水島に通ったと言われています。

日産と三菱は文化が違う

――そうした水島通いのなかで、感じたことがありますか。

やはり、日産と三菱では(企業)文化が違うと感じました。また、一般的な自動車メーカーがそうであるように、日産、三菱でも開発部門と生産部門との間では(物事の進め方の認識について)多少の違いがあります。われわれとしては、(日産・三菱・NMKVとして)共有用語を使い、お客様第一、品質第一を考えてきました。

また、サプライヤーについても、日産として初めてお付き合いする企業が数多くあります。水島に近い、倉敷市や総社市に(三菱との関係が構築されている)技術競争力が高い企業が多いという感想を持っています。

――別の視点で、NMKVでは軽のEV開発も行うと思いますが、第2世代デイズでも当然、そうした要件は組み込まれていると言っていいですか。

(今回のデイズ開発でEVについて)考えていないわけではありません。日産の中期経営計画の中で、2022年までに新規にEVを3モデル市場導入し、そのうちのひとつが軽であると言っていますので。

日産自動車の齊藤雄之CVE。ロシア向けのダットサンや中国市場向けモデルの開発に携わり、2015年4月から第2世代「デイズ」の開発を指揮する(筆者撮影)

ただし、(現時点で)なんでもできるようにするのではなく、まずはガソリン車としての構造で最適にするべきだと考えています。(EVを前提として設計してしまうと)、設計の余裕を取り過ぎてしまい、クルマの重さやコストにつながってしまいます。自動車の開発のセオリーとして当然、幅を持った設計をしていますので、(軽EVは)結果的に作り上げる、という解釈だとお考えください。

――日本固有の車両規格である軽は今後、どうなっていくと思いますか。

日本の高齢化社会が進む中で、今後さらに(市場での)市民権を得るクルマになると思います。高齢者向けに、(プロパイロットなど)高度な運転支援システムは必然だと思います。

******

筆者追記】今年は軽のあたり年だ。「デイズ」「ekワゴン」に続き、ホンダ「N-WGN」やダイハツ「タント」などの大物がフルモデルチェンジを控えている。日本市場全体の約4割を占める軽。その中でデイズはどう戦っていくのか。近く実施される試乗会で、デイズの走りの実力を感じてみたい。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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