名写真家が目撃「平成史に残る」鉄道10大事件 九州・北海道で新幹線が開業、災害や大事故も
あと20日ほどで「平成」が終わる。
昭和の終わりから平成にかけて、日本の鉄道は国鉄の解体、分割民営化という大きな変化とそれに伴う試練に立たされた。そして発足したJR各社は、平成に入りさまざまな新しい列車・車両の運転を開始した。これらは鉄道ファンに話題となり、大きく報道もされ「豪華列車ブーム」なども生んだ。
その反面、これまでわれわれが体験しえなかった未曽有の大災害も多発した。阪神・淡路、東日本など各地で起こった大震災や豪雨水害は鉄道を破壊し、沿線住民の足を奪った。また忌まわしい福島原発の大事故が鉄道や市民生活に大きな打撃を与えたことも、平成の大きな汚点として歴史に残る。
鉄道ファンが選ぶ平成の10大ニュースといえば「撮り鉄」の対象となる話題の列車の誕生や廃止などが取り上げられようが、私はその域にかかわらず冷静に平成時代の鉄道を振り返りたい。平成の31年間は、私が鉄道写真家・エッセイストとして最も活動し、成果を残してきた時代でもあったわけで、鉄道の喜怒哀楽、活性化、衰退のほとんどを身をもって体験してきたという自負があるからだ。
未曽有の災害がもたらした被害
1)東日本大震災・福島原発事故で鉄道に被害
鉄道に限らず、平成の時代を振り返るうえで絶対に忘れてはならないのが、東日本大震災とその津波によって引き起こされた福島第1原子力発電所の事故だ。
2011(平成23)年3月11日に日本海溝付近のプレートで発生した大地震と大津波は三陸沿岸に甚大な被害をもたらし、三陸鉄道やJRの各路線に多大な被害を与えた。その後の福島第1原発事故は長期化する放射能汚染で常磐線沿線の交通機関に壊滅的な被害をもたらした。
震災で不通となった区間では、今年3月23日に山田線の宮古―釜石間が、運営を三陸鉄道が引き継ぐ形で8年ぶりに復旧した。一方で気仙沼線、大船渡線の不通区間はBRT(バス高速輸送システム)となり、鉄道としての復旧はならなかった。常磐線は富岡―浪江間で今も不通が続いており、復旧は2020年3月の予定だ。
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