名写真家が目撃「平成史に残る」鉄道10大事件 九州・北海道で新幹線が開業、災害や大事故も

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4)阪神・淡路大震災で京阪神の鉄道に被害

1995(平成7)年1月17日早朝、兵庫県の淡路島北部沖を震源としてM7.3の大地震が発生、震災後の火災などで犠牲者は6434人に達した。近畿圏の兵庫県を中心に、大阪府、京都府などの鉄道は多大な被害を受けた。

1995年、阪神・淡路大震災後の神戸三宮付近。阪急電鉄の駅(中央)には「6月12日全線復旧」の幕がかかっている(筆者撮影)

地震の発生が早朝だったため運行中の列車が少なかったことは不幸中の幸いだったが、山陽新幹線では橋脚が倒壊し、復旧までに3カ月程度を要した。また、その後の高架橋の点検から欠陥工事による亀裂などが見つかっている。私鉄においても阪急、阪神などが大きな被害を受け、阪急三宮駅など多くの駅舎が倒壊したほか、高架式の阪神石屋川車庫も倒壊し、各線の復旧までには数カ月を要した。

5)JR福知山線脱線事故

2005(平成17)年4月25日にJR西日本の福知山線塚口―尼崎間のカーブ区間で発生した列車脱線事故である。乗客と運転士合わせて107人が死亡、562人が負傷した。私はこの日、たまたまJR西日本の取材で管内にいた。最初は「踏切事故」で運転停止との第一報が入ったが、以後続々と入る被害状況を聞き、事の重大さに驚いたものである。

これ以前、1991(平成3)年に滋賀県の第三セクター、信楽高原鐵道で起こった死者42人を出した正面衝突事故も痛ましい鉄道事故として記憶に生々しい。

地方の鉄道・光と影

6)JR北海道の経営が窮地に

2011(平成23)年5月に石勝線で特急「スーパーおおぞら」の脱線、火災事故が発生し、その後特急列車の発煙・出火事故が相次いだ。貨物列車の脱線、運転士によるATSの破壊など事故や不祥事はその後も続き、国土交通省による保安監査が2度にわたって実施されている。

相次いだ事故の原因としては人口減少や鉄道の利用者減少による経営難で、安全に関する投資までもが削減されたためと指摘され、そこに至る問題点としては人材不足や鉄道員の資質、さらに国鉄の分割民営化そのものも挙げられる。社長経験者も2人自殺している。分割民営化の犠牲者ではなかろうか。

7)九州新幹線開業

博多―新八代間開業の前年に開かれた、熊本総合車両基地公開のテープカットの様子(筆者撮影)

2004(平成16)年3月13日に新八代―鹿児島中央間が暫定開業し、新形式の800系「つばめ」が運転を開始した。2011(平成23)年3月12日には博多―新八代間も開業して山陽新幹線と直通運転が始まったが、東日本大震災の翌日であり残念ながら華々しい開業日とはならなかった。現在は函館(新函館北斗)から鹿児島中央までが新幹線で結ばれている。新幹線網が全国に広がったのは平成の鉄道界の大きな出来事だ。

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