無印、銀座に「MUJIホテル」を開業した真意 過去最高益続くが、銀座で「新ブランド戦略」

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バブル景気に向かう時代に生まれた無印の原点は、ブランド志向の強まる消費社会へのアンチテーゼだった。素材の見直しや生産工程・包装の簡略化によって、消費者目線での暮らしに役立つ「安くて良い品」の開発を徹底。飽きの来ないデザインや質の良さ、そして独特の世界観に、数多くのファンが共鳴した。

だが、ここ最近は製造技術の発展やネット通販の拡大により、無印と似たような商品が国内外で散見されるようになった。国内家具最大手のニトリも、生活雑貨の品揃えや都市部への出店を積極化。テレビCMや価格の安さを打ち出したチラシを積極投下しない無印が、商品のシンプルさや手頃感を訴求するだけでは他社との差別化に限界がある。

そこで、良品計画は銀座の新旗艦店とホテルで無印の独自コンセプトを改めて強く発信する。良品計画の松﨑社長は「商品自体の差異だけでなく、会社やものづくりの考え方を顧客が評価する時代になった。無印の衣料品は生産者への影響にも配慮してオーガニックコットンを使うが、今後はそうした商品を生産した背景や理由が、差別化の大きな武器になる」と語る。

産地見学や収穫体験ツアーも

たとえば1階の青果売り場では、専門スタッフが毎日試食を提供しながら商品の生産過程を説明する。各フロアの主力商品には大きな垂れ幕を下げ、開発面での工夫などをわかりやすく解説する。産地見学や収穫体験ツアーなど、生産者と消費者をつなぐ試みも企画する。

高級ブランドショップや百貨店が建ち並ぶ銀座は、「消費社会の象徴」とも言える。「飾りのない無印が銀座のど真ん中に出て行くというのも、われわれの存在価値が明確になるので非常に良いと思った」と松﨑社長。

MUJIホテルと新旗艦店を広告塔に、世界中でさらなるファンを作れるか。独自の世界観を貫く無印の新たな挑戦が始まる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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