Web会議システム「生みの親」が語る働き方改革 離れた場所をつなげて世界を変える男
――当時の時代背景とかインターネットが普及し始めたというのもまたポイントだったと。
そうですね。まだまだ世の中でインターネットが一般的になっていない時代ですから、実は20万円ってお客さんからするとものすごく安かったんです。当時の相場は多分200万くらいだったろうと、後になってわかったんですが、200万のものも私たちが作ったのもあまり変わらなかったんです。お客さんからすると、とても安いのにちゃんとしたものを作ってくれるということで、どんどん紹介で広がっていったというのが始まりですね。
――就職活動は考えなかったですか。
実は就職しようと思っていました。ただ、就職活動する時期、2001年の頭ぐらいですね、この時によく見たら自分の社内に正社員がいると…これは辞められませんよね。しっかり続けていかなければいけない。そして軌道に乗っていましたから、辞めてまた一から会社に入るのもどうなのかなと思いまして、就職活動をやめて、そのまま本格的にやっていこうということで株式会社にして展開を進めていったというかたちです。
「Web会議」は自分たちが欲しかったもの
――その企業のホームページ制作が発展した形から始まった会社ということなんですが、今のブイキューブはテレビ会議とかWeb会議のサービスが主力事業になっているそうで。なぜこの事業を主力に?
実は2003年にアメリカにオフィスを開いています。ブイキューブUSAという会社で今も展開していますけど、当時は携帯電話のiアプリなどを開発していて、これをアメリカに持っていこうということで作った会社なんです。つくった途端に、日本とアメリカのコミュニケーションに困りました。小さな会社ですから、私が日本にいるとアメリカの仕事はとまり、アメリカにいると日本の仕事は止まるんです。
これはコミュニケーションをなんとかしなきゃいけない。でも、電話やメールでは埒(らち)があかないし、出張するにも限界があります。じゃあこれはテレビ会議だろうと。テレビ会議を買おうと思ったら1千万ぐらいかかるんです。
当時は安いものはありませんでしたから、我々の規模ではとても買えない。しょうがないからもう作るかということで、社内で相談をしていたら、作ってもらったのが簡単なパソコンで動く映像をやり取りするソフトウエアだったんです。これを私が使い、目の前の人間(現在のCTO)に、要望を出すと、どんどん良くなっていくんですね。半年もすると立派な、今でいうWeb会議の仕組みができ上がったんです。