「お菓子習慣」があなたの体を秘かに蝕むワケ 意外と知らない「超加工食品」の脅威

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超加工食品とは、常温で長期間保存できるように、砂糖や塩、油脂、保存料などを加えて高度に加工した食品の総称です。安価で日持ちがするため家計にやさしく何かと便利ですが、近年欧米ではこの超加工食品がもたらす健康への弊害が注目され、警鐘が鳴らされています。

超加工食品の中でも、私がとくに危惧しているのがお菓子です。例えば、クッキーやドーナツなどに使われる小麦は、グルテンを含みますが、これはさまざまな体調不良の要因にもなりうる物質です。

「なんだかだるい」は中毒のサイン?

本来の小麦には、グルテンは今ほど含有されていませんでしたが、収穫高を上げるために遺伝子操作された現代の小麦ではグルテンが多く含有されるようになりました。普段から「病気ではないけど、なんだかだるい」と感じている人は、小麦由来のお菓子を控えることで治る可能性があります。

また、甘いお菓子を食べると血糖値が急上昇するため、インスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されますが、最近の研究では、このインスリンが脂肪の分解を抑制したり、細胞の老化を促すことが明らかになっています。しかもこのインスリンは、過剰に分泌され続けると、認知症のリスクを高める要因になることもわかってきています。

ここまでの話を読んで、では今すぐお菓子をやめればいい、と考えた方も多いと思いますが、我慢が難しいのが「超加工食品」の怖いところです。

「超加工食品」は自然のものを精製して純度を上げることで作られています。例えば、砂糖であればアミノ酸やミネラルなどが、塩であればマグネシウムやカリウムなどが、味のクセをなくすために除かれて「白砂糖」「食塩」ができています。

そして、こうしてできた「白砂糖」「食塩」は、自然のままの状態に比べて味が強まって甘みや塩辛さが増し、脳の報酬回路を強く刺激するようになります。

すると、「脳内麻薬」とも呼ばれるドーパミンやエンドルフィンといった快楽ホルモンが多く分泌され、抑制が利きにくくなり、摂取欲が増してしまうのです。

実験においても、アメリカのスクリプス研究所のポール・ケニー博士の論文で、脂質と糖質が多く、白砂糖や食塩で濃く味付けされたいわゆる「ジャンクフード」を40日間ラットに与えたところ、報酬回路がオーバードライブして、食欲が止まらずに食べ続けてしまう結果になったことが発表されています。

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