──合同委のメンバーは、日本が官僚なのに、アメリカは軍人ですね。
1972年に駐日アメリカ大使館の一等書記官が、アメリカ側の代表を駐日公使にして「きわめて異常な」状態を解消するよう進言、大使、国務省とも支持しましたが、アメリカ太平洋軍(当時)が、これまで問題はなかったし日本側も変えてくれとは言っていないと抵抗、現状維持になりました。密室で日本政府に直接働きかけて、有利なところは維持し、新しいニーズが出てきたら追加する。アメリカ軍にとって使い勝手がいい仕組みなのです。
──実際、日本は譲歩の連続。
1974年12月に山口県岩国市の無人島でのアメリカ軍の訓練で山火事が発生、島が訓練可能な施設、区域外だったため国会で問題になった。
当時の外務省アメリカ局長は「提供された施設、区域以外のものをアメリカ軍が使用することはできない」「安保条約の規定に反する」とまで答弁。答弁の2カ月前に駐日公使を呼んで抗議、公使もこのような訓練は行わないと約束した。
政府答弁が1987年に180度変わった
ところが、「施設、区域」外である群馬県上空では、2018年3月の移駐まで、横須賀を母港とする空母の艦載機が頻繁に低空飛行訓練を行い、騒音、振動という実害とともに墜落の恐怖を周辺住民に与えていました。現在はオスプレイや輸送機が訓練をしています。
ほかにもアメリカ軍は日本上空に8つも低空飛行訓練ルートを勝手に設定して、ダムや発電所を標的に見立てた訓練飛行をしています。東京上空にもヘリの訓練エリアを設定、人口密集地域の上に超低空でヘリを飛ばしています。
──明白な安保条約違反ですね。
政府答弁が1987年に180度変わったのです。「タッチ・アンド・ゴーとか射爆を伴うものでないような飛行訓練」なら、施設、区域外でも「安保条約及び地位協定に基づいてアメリカ軍の駐留を認めているという一般的な事実」から、例外的に認められるとしました。
アメリカ軍の法的地位は地位協定と安保条約第6条の「合意される他の取極」に基づくが、1987年時点で公表されている限り変更は確認できない。外務省の担当部局の官僚が解釈を変えたのだとわかります。
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