日本にも影響及ぶ朝鮮戦争「終戦宣言」の現実味 トランプ大統領はそのカードを用意している

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北東アジアを激変させるかもしれない(写真:omersukrugoksu/iStock)

「朝鮮戦争を終わらせる」

思わず目を疑った。今月下旬に予定されている2回目の米朝首脳会談を前に、アメリカのドナルド・トランプ大統領が、朝鮮戦争を終わらせる用意があると語ったというのだ。

この発言を紹介したのは、スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表だ。現在、北朝鮮との交渉窓口となっている。

1月31日、米西海岸の名門スタンフォード大学で講演し、「トランプ大統領は、この戦争を終わらせる準備ができている。それは終わった。終結した」と言及した。さらにアメリカが北朝鮮を侵略したり、政権転覆を試みたりすることはないと強調したという。

北東アジアの安保地図を激変させる重大発言である。

念のため、米CNNの記事を読むと

「President Trump is ready to end this war. It is over, it is done. We are not going to invade North Korea. We are not seeking to topple the North Korean regime」

とある。やはり、間違いなく朝鮮戦争を終わらせる用意があると語っているのだ。

ビーガン氏は、今の職に就く前にはフォード・モーター副社長だった。いわば、朝鮮半島の素人。トランプ大統領もとても専門家とは言えない。だからこそ、アメリカに多大な緊張と財政的負担をかけ、休戦のまま続いてきた朝鮮戦争に「終戦宣言」を出して、決着をつけることに前向きなのだろう。

もちろん、終戦宣言までには条件がある。ビーガン氏は、同じ講演の中で非核化をめぐる外交努力が再び停滞した場合には「不測の事態への対応策」の用意があるとも話している。もしも、北朝鮮が核開発施設の査察、破壊などに大胆に応じれば、見返りとして「終戦宣言」を用意しているのだろう。

1950年、北朝鮮の突然の南侵で始まった戦争は1953年7月まで朝鮮半島全土で繰り広げられた。死者は、双方で500万人近くに達したと言われる。

太平洋戦争での日本の軍人・軍属の戦没者は230万人とされているので、どれだけ大きな被害だったかがわかる。

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