最速の特急「はくたか」を失った北越急行の今

かつての大動脈は「地域密着」でどう稼ぐか

「定期収入はほとんど変わっていませんから、『はくたか』のぶんがすっかり減りました。開業した頃から北陸新幹線の延伸はわかっていたことではあるのですが」

八海山をバックに走るほくほく線。トンネルと高架が大半のほくほく線ではこうした車窓を楽しめる区間は少ない(筆者撮影)

こう話してくれたのは、北越急行営業企画部長の大谷一人さん。大谷さんに聞くと、当然こうした収入の激減は想定の範囲内。そこでそれ以前からの「はくたか」の利益をプールして運用、赤字の穴埋めに当てているという。

2018年度末の時点での純資産は約115億円にも及び、20年くらいならば赤字が続いても経営に与える影響は少ない計算だ。先見の明というべきか、最初からわかっていたのだから当たり前というべきか。ただ、そうは言っても安穏とはしていられない。

首都圏から北陸への大動脈からローカル線へと変貌した北越急行ほくほく線の今は、どうなっているのか。

ほくほく線を取り巻く環境

ほくほく線沿線には六日町駅を中心とする南魚沼市や十日町駅を中心とする十日町市、そして高田平野では大半の列車がほくほく線から直通する直江津駅中心の上越市がある。

北越急行十日町駅。十日町は国内有数の豪雪地帯としても知られ、除雪コストも大きな負担になっている(筆者撮影)

これらの町はいずれもそこそこの規模を持っていて、さらに間には丘陵地帯が横たわっていることもあって相互の交流は少ないという。そうしたこともあって、日常的にほくほく線を利用する沿線住民はほとんど学生に限られる。

「ほかには……そうですね、なにかの用事があって東京に行く人がほくほく線で越後湯沢に出て新幹線に乗り換えて、といった形で使っていただくことがあります。絶対人数は少ないですから、やはり学生さんが中心になります」(大谷さん)

数字を見ると、実は日常的に利用している通学などの乗客は横ばいか長期的には微増傾向にある。人口減少が進む中で多くの地方ローカル線が乗客の減少にあえぐ中で、なかなかに珍しい。どのような背景があるのだろうか。

「別に沿線人口が増えているというわけではないんです。新潟県が高校の統廃合を進めまして、さらに学区も取り払った。そうした改革の影響で鉄道で通学する学生さんが増えたんですよ。それでほくほく線にも乗ってくれるようになった。ですが、その効果ももうそろそろ限界でしょう。今後は利用者も減っていくだろうと考えています」(大谷さん)

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